【由緒】
大井の神様「ヒラトモ様」を信仰する主人の何某が、里山が荒れる一方で山道がふさがって参拝できなくなるのを恐れて、分霊を願った。ヒラトモ様の祠の近くの岩の欠片(もとはおそらく古墳の石材で、祠の岩と同種のもの)と奉納された木の根の一本をもらい受けて、何某の家の駐車場にひとまず保管した。
怠け者の何某が一年以上忘れたごとく何もしないのを見かねた信仰心の篤い妻が、廃棄処分の棚を利用し、岩の欠片と木の根を置き、日本酒の小瓶を供えて祠(ホコラ)とした。何某、すこぶる喜ぶ。
【祭神】
平知(ヒラトモ)様:もと古墳の主。幕末の頃、村人によって祠が作られる。明治以降、平家の武将を祀るものとされ戦勝祈願の神として熱心に信仰されるが、敗戦により次第に忘れられる。
大井炭坑「山の神」:終戦直後の数年間、宇部炭鉱の資本により直方出身の長谷川氏の指導のもと経営された炭鉱の神様。坑口付近に埋もれた松岩(地中より掘り出されたボタ)をもらいうけて、勧請する。
飛松(とびまつ)岩の神様:球状黄鉄鉱の産地として名高い飛松の崖(大井の里山の東端)から採取された岩の神様。
【場所及び構造】
駐車場のブロック塀の脇。ステンレスのパイプ製の二段の食器置きの再利用である。上段にヒラトモ岩と木の根を祀り、ヒラトモ様付近で見つけた土器の欠片を賽銭受けとして、日本酒の小瓶を供える。下段に、大井炭坑ボタと飛松岩を祀る。
【祭祀方法】
何某が、通勤の前に一日の無事を祈り、帰宅時には無事の感謝を祈る。二礼二拍手一礼による礼拝。黙礼も可。ただし忘れることも多い。