大井川通信

大井川あたりの事ども

大井川歩き(ミロク様・小祠論)

ミロク様と山の神に初詣

ヒラトモ様には初詣をすませてあるので、大井の里山の中の別の神様に、お参りに行く。人の出入りがない場所なので、ヒラトモ様以上の難所である。先週末に雨が続いて、道がぬかるんでいるのも誤算だった。 まず、近頃気になっている秀円寺の裏山の石仏にお参…

里山の三社参り

元日の夜には、近辺の村社(村の鎮守)の三社参りをしたから、新年最初の連休で、里山の神様への初詣をすることにした。 参道の入り口で、農作業するひろちゃんの娘さんに新年のあいさつ。ヒラトモ様への林道は枯れた竹にふさがれて通行できない部分がある。…

石崎さん

仕事で福岡県の小郡市に行く。近頃は、出張でも車の運転がおっくうになって、公共交通機関を使うようになったから、駅から目的地までの道を歩くことになった。 街道付近の空き地に大きな石が二つ並んでいて、石のホコラもあり、白い説明板が立っている。それ…

『いのる』 文・森崎和江 絵・山下菊二 2016

著者の森崎和江さんは、ご近所に住んでいる。著作集がでている著名な文筆家だから、いつかしっかり読もうと思いつつ果たせていない。ずいぶん前になるが、一度ご自宅の前で顔を合わせたので挨拶すると、家に招き入れてもらい、しばらく話をうかがったことが…

ミロク様発見から7年

7年前は大井川歩きを本格的に始め、大井川通信(紙版)を書き始めた年だった。1月20日に里山でヒラトモ様を発見し、以後地元の方からの聞き取りや文献の調査などで、ヒラトモ様の概要を探るのに5月までかかった。そうして7年前の今日、力丸弘さんの証言から…

絵本「笠ぼとけさま」後書き

近所に「笠仏」という地名があるのが気になっていた。 ある時、その土地を歩いていると、道の脇に石材を無造作に寄せて地面をコンクリートで固めてある場所が目に留まった。庚申塔にしては扱いがぞんざいだなと思ってよく見ると、その中に、六角形の石材の六…

釣川浄土(「人と神様」編)

釣川の土手を歩いていると、前から手押し車にもたれて歩いてくるご婦人の姿がある。まずは挨拶と、秋晴れの話。念のため、ヒラトモ様のことを聞く。大井村でも知られていない神様を、ふつうには隣村の人が知るはずはないと思いながら。すると意外なことに、…

巨石信仰いろいろ

職場の近くに小さな丘陵があって、古い時代の古墳や遺跡などがならび、一種の神域となっている。丘の入り口には、大きな岩が控えていて、岩自体も神様としてまつられているが、そこは熊野神社の境内になっていて、鳥居や立派な社がある。 そこから丘の上の雑…

笠仏さま

笠仏(かさぼとけ)さまの絵本の製作が、頓挫している。聞き取りができたのが、4年前。3年前には、簡単な絵コンテを妻に渡した。妻が実際に絵を描いたのは、その1年後だが、その時には僕も気乗りがしなくなっていて、妻の絵を2年間放置している。 大井の…

「私は淫祠(いんし)を好む」

永井荷風(1879-1959)が東京の街中を散策したエッセイである『日和下駄』(1915)の一節。淫祠(いんし)とは、いかがわしい神をまつったヤシロやホコラのこと。 「裏町を行こう。横道を歩もう。かくの如く私が好んで日和下駄をカラカラ鳴らして行く裏通り…

波切不動明王の由来

津屋崎で玉乃井旅館の玄関先のホコラの修繕に関わっているので、身近な小さな神様についてあらためて考えている。集落では村単位でまつる氏神の他に、村内の組ごとにまつるホコラがある。それよりさらに小さな単位(一族や近隣や家など)でまつる神様となる…

大井炭鉱跡とミロク様に詣でる

ひろちゃんの娘さんと待ち合わせて、大井炭鉱跡を案内する。昼前には小雨がぱらついて、怪しい雲行きだ。一人では心細くて、とても荒れた里山には入れないだろう。 娘さんはひろちゃんから鍛えられているだけあって、荒れ果てた竹やぶも急な斜面もスタスタと…

ザシキワラシのいる家

我が家には、現在、ザシキワラシがいる。いるかもしれない、とか、いるみたいだね、とかいうことでなくて、あたりまえの事実として、いる。 今朝も、妻が寝過ごしそうになったときに、寝室に誰かがばたばたと駆け込んできて、またばたばたと出ていったので、…

道端の神

大通りの歩道わきに、子どものおもちゃみたいな派手な彩りのオブジェがある。アートによる街づくりとかで設置されたものだろう。 真っ赤な金属の積み木を組み合わせたようで、足下には車輪もついているし、顔の部分には、銀色の球がはめ込んであって、目のよ…

ミロク山でアサギマダラに出会う

「ひさの」で知り合った大正3年生まれのHさんの生まれ育った村を再訪。 ミロク山の急な山道を息を切らしながら登ると、その先に大きな建物ぐらいの岩が露出していた。岩の前面には地蔵がならんでおり、少しくぼんだところに、江戸時代の元号の刻まれた古い…