大井川通信

大井川あたりの事ども

ミロク様と山の神に初詣

ヒラトモ様には初詣をすませてあるので、大井の里山の中の別の神様に、お参りに行く。人の出入りがない場所なので、ヒラトモ様以上の難所である。先週末に雨が続いて、道がぬかるんでいるのも誤算だった。

まず、近頃気になっている秀円寺の裏山の石仏にお参りする。不動明王の背面に、文字が刻まれていることに気づく。うっすら元禄十二年(1699年)とも読めるが、だとしたらこの地区で一番古い年号となる。

ミロク様に向かうために、谷の共有林にそって進み、まずは突き当りの滝を見る。雨の後だから水量豊富だ。ミロク様の鎮座する尾根に上がるために、今まで登ったことのない奥の斜面を横断すると、そこに石室が少しだけ口を開けた円墳らしきものがあることに気づく。群衆墳のある地帯だから不思議ではない。

ただ亡くなった力丸ヒロシさんが、ミロク様の存在を教えてくれたときに、この谷の地中にあるかのような言い方(実際は尾根にあった)をしていたことを思い出す。もしかしたら古墳の石室のイメージとだぶっていたのかもしれない。

ミロク様の周囲は、昨年草を倒した効果がいくらかあって、見つかりやすくなっていた。お酒を備えてお祈りしてから、ホコラの周囲の草木を踏みつけて多少きれいにする。しかし、夏になったらどうしようもないだろう。

斜面の上り下りで、注意はしていたのだが、3回尻もちをつく。一度は背中を打った。濡れた泥に足をとられるのだ。痛いというより、衝撃が新鮮で懐かしくもある。大人になってから尻もちなどつかないから。

いったん里山の外に出てから、今度は大井炭鉱の坑口あとをめざす。奥の農園跡までは歩きやすいが、その先の谷の入り口には、イノシシのくくり罠注意の表示がある。もっとも谷の先は枯れた竹が折り重なって歩けたものではないはずだ。

少し戻った場所から尾根に上がって、歩きやすい尾根を少し登ってから、坑口のある谷に降りるというルートをとる。ここはミロク様以上の急傾斜で本当は行きたくはない。木も多くてイノシシが出てきたら怖い。大量の糞が放置された場所もある。イノシシ除けの笛を吹きながら、傾斜地ではしっかり木をつかんで、慎重に進む。しかし白状すると、ここでも二度転んでしまった。とにかく泥が滑って足を取られる。

ようやく坑口付近の谷に降りるが、昨年よりも荒れていて、コンクリートでふさいだ坑口には雨水がたまっていた。酒を備えて参拝するが、周囲を整備する余裕はない。なんとか無事に帰りつこうと思うばかりだ。

近場の里山の中だけだが、二時間歩いたことになる。本当はクロスミ様にも行きたかったが、5回も転んだためか体力も消耗し気力も尽きたので、出直すことにする。