大井川通信

大井川あたりの事ども

サブカル

ロック勉強中

バンドメイドの動画を見つけてから、彼女らの動画を見、音楽を聞き、情報を仕入れることに自由時間の大半を費やす日々が、三か月に渡って続いている。 彼女たちの音楽を理解するためには、基本に立ち返って、本場のロックを聞きなおさないといけない。80年代…

映画『顔』 大曽根辰夫監督 1957

松本清張の原作は、前年の1956年(昭和31年)に発表された短編。短編集の表題作でもあって、鮮やかな印象の名作である。 ところが、映画の方は、主人公を女性にしただけでなく、ほとんど別の作品といえるほど設定もストーリーも乱暴に変更されており、いろい…

映画『眼の壁』 大庭秀雄監督 1958

松本清張の原作も1958年(昭和33年)の出版。前年の週刊誌連載中から話題になり、映画化が決まっていたようだ。原作は読んだ記憶があるのだが、内容はまったく覚えていなかった。 大庭監督と主演の佐田啓二(1926-1964)とのコンビは、映画『君の名は』(19…

映画『ゼロの焦点』 野村芳太郎監督 1961年

原作は松本清張の1959年の作品。あまりにも有名ながら、未読。 制作年が、僕の誕生年だったのがきっかけで、ネットのビデオで観る。自分が生まれた頃の世界がどんなものであったのか、時々確認したくなる。自分の記憶や知識でばくぜんとしたイメージはもって…

BAND-MAIDに激ハマリする(その2)

2月の終わりに、このバンドをネットの動画で見つけて以来、相変わらず、自由時間の大半を、バンドの動画を見たり、音源を聞いたりすることに費やしている。アルバムも現物を二枚買った。 一週間くらい前、バンドの公式サイトでこんな告知を見つけた。参加す…

テレビを記録するということ

ファミリーレストランでの勉強会の席で、目の前にいる吉田さんがみるみる見知らぬ人へと変わっていく。知り合って6年くらいになるし、その間いろいろな会合で顔をあわせることが多かった。特にこの一年間は、一対一で毎月5時間くらいは議論している。たいて…

BAND-MAIDに激ハマリする

ここ一週間ばかりは、仕事から帰ってきて、ずっとバンドメイドの動画を見続けている。メイド設定の5人組のガールズバンドだ。それで、他のことが一切できていない。たぶん現実逃避なのだろうけど、それだけではない気もする。 ネットの動画もふだんはほとん…

優しい気持ちと車間距離

ロックミュージシャン佐野元春(1956-)の言葉。佐野元春は、独特のキャラクターのためにテレビのバラエティ番組に呼ばれることがある。久しぶりのテレビ出演で、自身の運転中のいら立ちを抑えるために自ら作った標語を披露したものの、あまりに平凡な内容…

仮面ライダーと昆虫図鑑

僕は小学生の頃、小学館の学習図鑑のお世話になった。当時、図鑑と言えば、蜜柑色の背表紙の小学館がメインで、70年代に入ってから、ようやく学習研究社の図鑑が巻き返しを図る状態だった。 確か手に入れた一冊目は、昆虫の図鑑で、ボロボロになるまで使った…

Lampの20年

今日でLampが結成20年になるということを、バンドのブログをたまたまのぞいて知った。音楽にはうといので、ジャンルでいえばシティポップとでもいうのだろうか。 ながくインディーズで活動していたが、このあたりはさらにうといが今は配信とか音楽の流通も…

お前はただの現在にすぎない

お正月の間、近所の神社の門前町で餅を焼く手伝いをしていたという吉田さんとの月例の勉強会。今回で二年目に入る。吉田さんは、テレビについての考察を持ってきてくれた。 吉田さんのレジュメに、こんな文章がある。子どもの時、好きなテレビ番組の最終回を…

女子アナブームの前夜に

共通一次試験のことを書いていて、高3の時の選択授業の雰囲気を思い出した。僕の高校では、進路別のクラス編成をとらなかったから、希望の進路によって違った授業を受ける選択授業の時間があったのだ。 僕は文系だったから、理系のクラスメイトとは別れて古…

『セミ』(ショーン・タン)のビブリオバトル紹介編

地元でビブリオバトルの入門講座に参加したら、その場でビブリオバトルの実演をすることになった。生まれて初めての経験だ。一冊お気に入りの本を持参する指示があったので、予想はつくことだったけれども。 そこで僕は、5分でこんな話をした。終了後に、講…

父親と落語

父親は渋谷道玄坂の生まれだった。戦前のことだから、父親の家族は転々と借家を替わったらしい。今でいうと「懐古厨」というのだろうか、父親は、昔住んでいた場所を訪ね歩くことがあって、何か所か、子どもの頃つきあわされたのを覚えている。もちろん、当…

『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 フレデリック・ワイズマン監督 2017

ひょんなことで、図書館に関する勉強を始めている。テキストや雑誌に目を通し、図書館をめぐる最新動向をにわか勉強した。図書館ではないけれども、社会教育施設や博物館での仕事経験がある。学生時代には、公民館での活動に参加していた。 こうした予備知識…

『ほんのにわ』 みやざきひろかず 2018

みやざきひろかず(1951-)の新作絵本を、少し遅くなったが手に入れて読む。完全オリジナル作品で、大人向けであることからも期待がたかまる。 はじめはストーリーを中心に足早に読んでしまったので、絵もいいし、展開も面白いにもかかわらず、なんとなくふ…

『アジャストメント(調整班)』 フィリップ・K・ディック 1954

フィリップ・K・ディック(1928-1982)のSF短編。 ある平凡な会社員の男が、ある朝、自分の会社に出勤すると、高僧ビルは灰色に変色し、粒子や塵の堆積のようにもろくなっている。なんとか自分のオフィスにたどりつくが、同僚たちも皆、灰色の粒子化してお…

『かえるのエルタ』 中川李枝子 1964

僕が子どもの頃に持っていて、繰り返し読んで、おそらく今でも書店に並んでいる名作童話。カエルの話なので、何十年ぶりかで読み直してみる。 どうしてこの話が好きだったか、あらためてよくわかった。物語の不思議さと面白さ、言葉の魅力が詰まっている。 …

涼宮ハルヒのために

京都アニメーションの放火事件は、僕にも相当な衝撃を与えた。無意識のうちにテレビやネットのニュースからも目を背け、新聞でも極力その記事を見ないようにしていたのだ。自然災害や大事件でニュース報道にくぎ付けになることはあっても、ニュースを避ける…

『空白の殺意』 中町信 1980(2006改稿 原題『高校野球殺人事件』)

中町信(1935-2009)の推理長編を読むのは、三作目だ。ミステリーファンでない僕が彼の作品にひかれるのは、それが世界の中に仕掛けられた謎というより、世界そのものの成り立ちの謎を示唆しているように思われるからだ。 この意味でいうと、前二作よりもず…

『セミ』 ショーン・タン 2019

6月の終わりくらいを皮切りに、自宅の庭でクマゼミの抜け殻を見かけるようになった。今年初めに植木のレッドロビンをすべて抜いて庭土を掘り返してしまったから、地中のセミが心配だったのだが、すでに10個近くの抜け殻を発見している。鳴き声も一週間く…

コンビニの手塚治虫

大阪道頓堀近くのコンビニで手塚治虫ベストセレクションという短編集を500円で買った。どういう出版や流通の仕組かは知らないが、以前からコンビニの漫画コーナーには、かつての名作がペーパーバックになって安価で売られている。しかしとっくに漫画を読む習…

花月と東洋館

昨年家族の要望で、浅草で漫才を見たいというので、東洋館という寄席に入ってみた。とんでもなく下手な若手や、とんでもなく変なベテランが出演していたが、思ったよりずっと面白く、刺激的な体験となった。 それで今日は、大阪に行くついでに、なんばグラン…

流全次郎の旋風脚

いとうせいこうが、「通信空手の有段者」だという記事を見て、自分も高校時代に通信教育で中国拳法を習っていたことを思い出した。というと、ずっと忘れていたみたいだが、実は、ことあるごとにそのネタで笑いをとってきたのだ。 さらに本当のことをいえば、…

『侵入者』 折原一 2014

叙述トリックを得意とする推理作家というイメージのある折原一(1951-)の、比較的新しい作品を読んでみる。90年代の前半の頃に、熱心に面白く読んだ記憶があるが、その後遠ざかっていた。 ミステリーファンでないのでおおざっぱのことしか言えないが、折原…

『天啓の殺意』 中町信 1982(2005改稿 原題『散歩する死者』)

本文庫の解説者は、「叙述トリック」を「Aという事柄(人物)をBという事柄(人物)に錯覚させるトリック」と定義している。僕は推理小説の中でも、このトリックに特に魅力を感じてきた。そこには、何かこの世界の成り立ちの秘密に触れるようなところがある…

『模倣の殺意』 中町信 1971(2004改稿 原題『新人賞殺人事件』)

久しぶりに推理小説を読んだ。推理小説は一時期熱心に読んだことはあるが、何かが語れるような読者では全くない。この本も、書店で「これはすごい」という帯を見て、気まぐれに手にとったものだ。 面白かったので一気に読めたが、思ったより昔の作品で、僕の…

「闇綱祭り」 諸星大二郎 2013

昨年出版された『雨の日はお化けがいるから』所収のこの作品は、発表の雑誌で読むことができたから、該当ページをとりはずして保存してある。初期の頃のような、シンプルだけれども力強いイメージ。正直、今でも新作でこれだけのものが読めるのかとうれしか…

「氷の微笑」 星野之宣 1999 

『宗像教授伝奇考』から雪女に関するエピソードを取り上げた勉強会でのレジュメの抜粋。以下、エピソードの粗筋。 ・1930(S5) 与次平の母、結核のため療養所に隔離。 ・1937(S12) 与次平の父、山中で微笑しつつ凍死。・1946(S21) 駆落ちの女、独居の与…

『コンプレックス・シティ』と諸星大二郎さんのこと 

大学を出て地方都市で一人暮らしを始めた頃、仕事が面白くないこともあって、漫画をむさぼり読むようになった。諸星大二郎(1949-)は、高校時代から『妖怪ハンター』で知ってはいたが、この頃繰り返し読んだ『コンプレックス・シティ』(1980)が、とりわ…