大井川通信

大井川あたりの事ども

競馬年間回顧

暮の有馬記念まで、生まれて初めて年間を通じて競馬を楽しんだ。テレビ観戦だが、リアルタイムで見るのは緊張感が違う。気になるG1レースは、画面の前に正座して見入った。スポーツ観戦にここまで力を入れたのは、本当に久しぶりだ。暮れにはサッカーのワールドカップが盛り上がっていたようだが、一試合もみなかったというのに。

せっかくなら一度は馬券くらい買ってみたいと思ったが、天性のアンチギャンブル気質のせいで、おそらく一生買うことはないだろう。一年見て、予想がまったく当たらないことが身に染みたからだ。

上位の競走馬の力は拮抗しているうえに、スタートの枠順や展開での有利不利がある。馬は生き物だから、レース前の仕上げの具合と当日のコンディションに大きく左右されるし、鞍上(あんじょう=騎手のこと)の出来不出来も影響する上に、そもそも走るか走らないかは馬のメンタル次第というところがある。これでは馬券が当たるわけがない。

今年のG1レースは、一番人気の馬が、ほとんど負けている。伏兵の勝利にもそれなりに興味深い物語はあるが、王者が日替わりでは名前も覚えられない。

昨年末は、去年の3歳世代はとても強いという評判だった。ところが古馬になるとまったく振るわない。昨年の年度代表馬だったエフフォーリアの負けが込むと、タイトルホルダーが現役最強の名乗りを上げたが、凱旋門賞有馬記念もさんざんだった。短距離レースを席巻するはずだったシュネルマイスターも勝ちから見放されている。

かわって、今年の3歳世代こそ強いという話になって、イクイノックスが天皇賞秋と有馬記念を連勝して、去年のエフフォーリアと同じようなポジションに躍り出ている。昔の予想動画を見てみると、昨年末はあれほど弱いと言われていたコントレイル世代も3歳の時は、相当強いと期待されていたことを知った。

人間は、未来(新世代)に期待するものだし、ましてや馬券に夢をみる競馬ならいっそうその傾向が強いにちがいない。競馬界では、特別に強い馬のことを「怪物」と呼ぶが、同世代を勝ち抜くだけでなく、年長の古馬を打ち負かし新世代の挑戦を退けながら、数年に渡って王者であり続けるのは並大抵なことではないからだろう。

ところで、今年の牝馬クラシックで活躍したスターズオンアースが生まれた日が、我が家の猫の九太郎とまったく一緒であることに最近気づいた。2019年2月27日。知っていたら、桜花賞あたりから応援できたのに。

サラブレットなら2歳から厳しい調教とレースの日々を過ごさないといけないが、マンチカンの九太郎は、一日の大部分を昼寝して、時々ボンちゃんと追いかけっこするくらいだから、平和なものだ。