大井川通信

大井川あたりの事ども

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

荷風の寺院観

永井荷風は『日和下駄』で一章をもうけて「寺」を論じている。街歩きのプロかつ文章の達人であり、感受性のかたまりのような荷風だけあって、お寺や神社に対する見方は多面的かつ繊細で、本質をつかみ取っている。小学生の頃から寺歩きが好きで、古建築の研…

『日和下駄』(永井荷風 1915)を読み直す

大井川歩きをまとめようと思って、永井荷風を読み返す。近代文学の作家で、僕の外歩きの導き手になるのは永井荷風と国木田独歩だろう。 『日和下駄』は荷風の街歩きの方法論と実践とか凝縮されていて圧巻だ。まず、荷風は東京市中の散歩を、「生まれてから今…

風邪ばかりひく人生

昨年11月中旬から、長く風邪をひいた。おかげで11月後半に予定していた東京行きがかなわず、楽しみにしていたライブにも行けなかった。一か月旅行をずらしたが、その前後も抜けない風邪に苦しめられた。風邪の直前に、オミクロン株用のコロナワクチンを打っ…

「宗教対話」のテーマを絞る

「大井川ガイドブック」のテーマは、すでに書かれたものを分類することで絞られるから容易だが、「宗教対話」のネタはまだ十分に書き溜めていないので、それができない。だから正面から取り組もうとすると、よくわかっていない内容だけに、格好つけただけも…

居は気を移す

この言葉は、父親から教わったものだ。はっきり耳に残っているので、日頃父が使っている言葉だったのだろう。しかし、父以外からこの言葉を聞いた記憶はない。本の中で使われているのを見たこともない気がする。 父は禅宗の言葉を好んでいたイメージがあるが…

梅崎春生の役所勤め

梅崎のエッセイを読んでいたら、大学卒業後、召集までの数年間、東京都の役所に勤めていたことが書かれていた。教育関係の出先機関だったようだ。実は、僕も長い間、県の教育行政の仕事をしていたから親しみがある。梅崎の勤務時は、戦争中の非常時だったは…

『怠惰の美徳』 梅崎春生 2018

近年編集された中公文庫のエッセイ及び短編集。梅崎春生(1915-1965)を読むのは、これで2冊目になる。2冊読んで、ようやく作家の特徴と人となりをつかむことができた。小説集一冊では、フワフワしたつかみどころのない感じだったのだ。確かに面白い短編…

ビブバトサークル読書会の報告

ビブリオバトルサークルのメンバー4人でのオンライン読書会。4回目となる。隔月開催を原則としてスタートしたが、結局年間4冊までとなった。まずまずの成績だろう。メンバーは街づくりに関心のあるボランティアや市民活動に熱心な人たちだ。還暦過ぎの僕以…

ラーメンで失敗する

仕事に余裕ができたので、午後を休みにする。博多の本屋でも行きたいが、風邪が治っていないので自重する。 ふとトマトラーメンを食べてみようと思いつく。ランチタイムでは半額近くで食べられることを知っていたが、客が多い。今日ならピークをはずして入店…

廣松渉の書法について

今年は、人生の総決算的に勉強に取り組もうと決意したので、5月5日の今村先生の命日には主著ともいえる大部の研究書を手に取った。例年のように手軽な文庫や新書ですますわけにはいかない。 廣松渉の忌日にも、当然同じ姿勢で臨むことになる。だとしたらやは…

『宗教対話(暫定版)』を構想する

先に『大井川ガイドブック(暫定版)』を構想した。その内容をレジュメにして、吉田さんとの勉強会で検討を加えてもらった。自分としては斬新なアイデアのつもりで、思い切った方針を打ち出したつもりだったのだが、そうでないことを吉田さんから教えられた…

ゴーゴリ本と謹呈用紙の思い出

学生時代、早稲田の古本屋街を巡回するのが好きだった。その時手に入れた本で今でも持っているのは少しだけだろう。まっさきに思い浮かぶのは、学習研究社版世界文学全集(全50巻)のうち、1978年発行の第35巻『ゴーゴリ』だ。 子どもの頃からゴーゴリが好き…

ゴーゴリのペテルブルク物語を読む

岩波文庫で、ゴーゴリ(1809-1851)のペテルブルクを舞台にした小説集(いわゆるペテルブルクもの)を読んだ。1983年の新刊で、1988年に発行されたものを持っている。紙質が良くないためか、ずいぶんと古く使い込んだ本に見えるが、実際にはきちんと読んで…

ウチラチに激突する

競馬を観るようになって、独特の専門用語をいろいろおぼえた。今はネットでいろいろな立場の専門家の解説を聞くことができる時代だから、隠語のようなジャーゴンをマスターする機会は、以前に比べたら格段に増えているだろう。 例えば、一つのレースの予想動…

こんな夢をみた(漢字の答案)

なんでも教室のようなところで、テストの答案が返却されるのを待っていた。書き取りのテストのようで、だとしたら自分も小学生くらいでないとおかしいはずだが、もう大人になっていたように思う。 予想に反して、全問正解だった。僕は得意になって、自分があ…

八興社の思い出(その2)

北九州市でホームレス支援で有名なNPO法人が新しい施設を作ろうとしたとき反対運動が起きたことが話題になった。他にもそうした「迷惑施設」の建設に近隣住民が反対するニュースをよく目にするようになって、はじめてあの八興社はどうだったのだろうと思いつ…

八興社の思い出(その1)

八興社は、僕の実家からワンブロック、50メートルばかり離れたところにある小さなパン屋だった。僕たちは「はっこうしゃ」と呼んでいたが、正式には「はちこうしゃ」だったろう。 別府の温泉街育ちの吉田さんと話していて、新興住宅街に育った僕には、典型…

酒飲みの句

酒飲まぬ人は案山子(かかし)の雪見哉 飲まぬ身は案山子と二人雪見かな 詩歌を読む読書会では、主宰の神保さんもその盟友の銀耳さんも酒飲みである。だから二人とも酒に関する作品を選ぶことが多い。下戸に近い僕には、ほんとうのところ酒の楽しみはわから…

『荷風俳句集』 加藤郁乎編 2013

読書会の課題本。俳句だけでなく狂歌や漢詩までも集め、詳細な注を付した実にマニアックな分厚い文庫本で、岩波文庫以外ではありえないような編集だ。 ちょうど大井川歩きとの関連で、『日和下駄』等での荷風の街歩きの方法論に学ぼうとしていたところだった…

こんな夢をみた(二人乗り)

国立駅で電車を降りて、夜の街に出たところで、知り合いが自転車で家の近くまで送ってくれることになった。夜の駅前ロータリーには、車も人も少なく閑散としている。 二人乗りは後ろの荷台に座るのではなく、前のカゴに腰かけるような変な乗り方だった。大学…

クロスミ様へのお参り

のびのびになっていたクロスミ様へのお参りをようやく果たす。大井川歩きについてまとめると決意した以上、クロスミ様への報告とお願いを欠かすわけにはいかない。大井川からの登山道は、太陽光発電のパネルの先は、浄水施設が廃止されミカン園もなくなった…

村の賢人とコメダ珈琲で会談する

休日の日程が立て込んで、二カ月近く原田さんと話ができていない。朝コメダ珈琲に入ったら、案の定原田さんがモーニングを食べて新聞を読んでいた。おそらく賢人は毎日コメダに来て、朝食を食べ、店のWi-Fiでインスタの作業をしているのだろう。 ちなみに僕…

『大井川歩きガイドブック(暫定版)』を構想する

・膨大な労力と意欲を必要とする書下ろしではなく、この10年間で書いてきた文章を、分類・整理し、パッチワークのようにつなぎ合わせることで、原稿の大本をつくる。既往のものを活かすことを、大原則とする。 ・このため、一つ一つの文章には、視点や認識や…

『井坂洋子詩集』 ハルキ文庫 2024

井坂洋子(1949-)は、僕が学生時代、現代詩を読み始めた頃の新進の女性詩人だった。ブルーの薄い詩集『朝礼』はいつのまにか手放してしまったから、特別に気に入った詩はなかったような気がする。なんとなく通じるけれどピンとこない、くらいの印象だった…

『サラサーテの盤』 内田百閒 1948

読書会の課題図書で、はじめて内田百閒(1889-1971)を読む。子どもの頃、旺文社文庫に多数収められて気になっていたものの、ようやく読む機会にめぐまれた。2003年出版のちくま文庫「内田百閒集成」全24巻の第4巻に当たる。 20年前に出版されたシリーズが…

キャベツたっぷりメンチカツの誘惑

僕がメンチカツ好きなのは以前に書いた。 実家の食卓の揚げ物といえばコロッケで、子どもの頃メンチカツを食べることがなかったために、妙なあこがれがあるのかもしれない。カツやハンバーグの方は、大人になってから街中の定食屋やファミレスで普通に食べる…

『清沢満之の哲学』(今村仁司 2004)を読む

今日は、今村先生の忌日。出版20年目にして初めて取り組む。 今村先生がこの本の前年に出した『清沢満之の思想』は読んだので、本格的な研究書の体裁をとった本書は敷居が高かったのだと思う。本書を評価した専門の仏教学者末木文美士でさえ「難解」と評して…

聞き書きを整理する

3月末に金光教研究を決意して、4月に研究のプロである知人に相談した。それで、今までの自分に、執筆に関して業績らしきものが何もないことに気づいた。「作文」を書くことに開き直ってきたからだ。 僕がこの10年ばかりの間、ライフワークと思って実践しつつ…

行橋詣で(2024年5月)

黄金週間後半の最初の日に「感謝」の銘柄の焼酎を携えて行橋を訪問する。 前回、研究や論文化について大言壮語してしまったので、この間の経緯を報告することになる。どうあげ先生やゴロリ先生からのアドバイスを受けて、やはり自分が誰かに助けてもらいたい…

ゲンゴロウのフィギュアを集める

20年以上前だと思うが、チョコエッグのおまけで動物フィギュアのシリーズが流行ったことがある。ちょうど職場が忙しく労働時間が長くてストレスもたまっていた時期なので、行きかえりのコンビニでチョコエッグを買うのがささやかな楽しみだった。 その中にゲ…