大井川通信

大井川あたりの事ども

堀之内妙法寺を回想する

立正佼成会について記事を書いて、自分が佼成学園高校を受験したことを思い出した。半世紀近く前のそのころは、新宗教の活動は今よりはるかに活発で反感も強かったと思うのだったが、異物を排除するような過剰な拒否感はまん延していなかったような気がする。都立高受験に失敗した親友のY君は、著名な進歩派の教育学者の甥だったけれど、佼成学園に進学した。

地図で見ると、佼成学園の校舎は、本部の大聖堂の隣にあるから、緑の宮殿風の屋根をもった巨大な円形の建物を間近で見た記憶は、まちがったものではないのだろう。

新宗教の建築だけを扱った本を読んだことがあるが、大勢の信者を収納する機能性とともに、現世を超越する教団の力を象徴させるために巨大で特異な形態をとる傾向にあるとされる。ただそれは、見慣れたとはいえ伝統宗教と言われる仏教や神道の建築も同じだし、現代の様々な記念性をもった建造物も同様だろう。

受験のときだった合格発表のときだったか、僕は帰り道、同じ杉並区にある堀之内妙法寺という大きなお寺に立ち寄った。父親が昔その寺の近くに住んでいて、お祭りに連れていかれた、という話を聞いたからだ。いや、わざわざ出かけたくらいだから、もっと具体的なエピソードを教えてもらった気もするのだが、もう思い出せない。

そんな妙法寺を久しぶりに思い出す出来事が3年前にあった。

動画でBAND‐MAIDを発見したばかりの頃、初期の楽曲RIAL EXSTENCEのミュージックビデオ(2015)のなかで、彼女たちが寺の本堂の正面やお堂の中で激しく演奏する姿が目を引いた。本堂には「妙法寺」の提灯が下がっていて、調べたらロケ地があの妙法寺だったことがわかったのだ。

コロナ禍でなかなか余裕のある帰省ができなかったが、そろそろ二つの「聖地巡礼」をかねて妙法寺の界隈を歩いてみたいと思っている。