競馬関連の動画を見ていたら、たまたまこんな動画に出くわした。再生回数もわずかで、ファンが競馬場でレースを記録しただけの短いものだ。
ファンファーレが鳴ると、ああ緊張する、という撮影者の声が聞こえる。若くて人が好さそうな声だ。
先月に阪神競馬場で開催されたマイルチャンピオンシップのレースで、彼はインディチャンプという馬を応援しているようだ。ちなみにこのレースは、僕が競馬に興味を持ってから初めてリアルタイムで放送をみたものだ。僕が応援していたのは、これが引退レースとなる短距離の女王グランアレグリア。
記録を調べると、インディチャンプは、一昨年にはG1で二勝した短距離馬だが、その後二年間勝ち星に恵まれていないものの常に好成績を記録している。
撮影者の声は続く。がんばれ、インディチャンプ! マイル王、かんばれ!
最後のコーナーを曲り、直線に入ると、彼の震え声も絶叫となる。
がんばれ、インディチャンプ! がんばれ、福永さん(騎手)! 生き返れ、マイル王!
しかし、馬群がゴール板を通過するときには、彼の口からは、叫びともため息ともつかない絶望の声がもれる。しかし、すぐに彼は気をとりなおし、勝者をたたえ、4位に善戦した馬をねぎらうことを忘れない。
グランすごい! ほんま強かった、おめでとうグラン! おしかったインディチャンプ! いいレースやった、くいなかった、はあ、はあ、はあ・・・
彼は自分が走ったあとのように息を切らし、感に堪えないという声をしぼりだす。ここで動画がおわるけれども、人馬一体となって馬を応援する彼の姿が、好ましいものとして印象に残った。