競馬観戦歴がこの天皇賞秋でちょうど３年になった。耳学問（ネット情報）でいろいろなことを吸収してきたが、競馬ファンにとっての関心事に、現役でどの馬が一番強いか、ということがある。歴代最強馬という言葉もあるが、これは同時代にレースで戦っていない以上、あくまで想像上の比較にすぎない。
３年前に最初に僕が現役最強馬という言葉を耳にした時は、クロノジェネシスがその名で呼ばれていたような気がする。同い年の牝馬に短距離最強のグランアレグリアがいたが、競馬の世界では中長距離レースの格が上なので、その時グランプリ（宝塚と有馬）三連覇を達成していたこの馬にその資格があったのだ。
ところが、天皇賞秋で、前年のクラシック三冠馬コントレイルとグランアレグリアを破った３歳の皐月賞馬エフフォーリアが、有馬記念でクロノジェネシスに勝つと、当然のようにこの称号は彼のものになった。僕の目にした初めての最強馬で、どこまで強くなるかと思えたほどだった。
しかし翌年になると急激に失速し、代わって同世代の菊花賞馬タイトルホルダーが天皇賞春と宝塚を連勝し現役最強馬の称号を奪い取ることになる。大きな期待を背負った凱旋門賞で惨敗するとそれまでの調子を落とし、前年のエフフォーリアと同様に天皇賞秋と有馬を連勝したイクイノックスが最強馬の名乗りを上げることになる。
イクイノックスは年が明けてもエフフォーリアのように失速することなく、ドバイ、宝塚、天皇賞秋とG１レースを５連勝し、日本の枠を超えて堂々世界ランク１位をマークしている。歴代最強馬ではないかという呼び声も高い。
ところが、次走の日本グランプリでは、底知れぬ強さを見せる今年の三冠牝馬リバティアイランドが４ｋｇの斤量差の恩恵を活かして勝つのではないかという下馬評がある。最強馬をめぐる人間たちのロマンが尽きることはない。馬たちには迷惑な話かもしれないが。
