大井川通信

大井川あたりの事ども

ヒラトモ様へのお礼参り

コロナ感染症から回復してから、初めてヒラトモ様の里山に入る。参道の整備されているクロスミ様にはお参りをすませたが、夏になって山道がいっそう荒れているはずのヒラトモ様には、遠方からの遥拝しかできていなかったのだ。長雨と猛暑で足が向かなかったということもある。

このところ昼間でも暑さが落ち着いたので、竹の杖をついてクモの巣を払いながら、山道に挑戦してみることにした。豪雨の影響か道には泥や枝などが堆積している。見かけない大きな白いキノコがあちこちに生えているのは、長雨の湿気のせいなのか。ツクツクホウシが途切れることなく盛んに鳴く。

ヒラトモ様の石のホコラに新しいお酒を供えて祈りをささげる。平家物語の「知盛の最期」の下りを朗読して奉納する。出かけに思い付きで、闘病中僕の書いた文章のコピーを持って来ていたので、「人間の倫理」と「僕の神々」という二つの記事を読み上げて、感謝の気持ちを伝える。

今日は9月11日。職場から深夜に帰宅し、崩れ落ちるビルの映像に目を奪われたあの晩から、早いもので20年になる。ヒラトモ様にムラの平和と、あわせて世界の平和についてもお願いして、山を下りた。