大井川通信

大井川あたりの事ども

元日の三社参り

夜10時過ぎ、ようやく完成した家族の年賀葉書を投函しに外に出る。今日初めての外出。年賀状は、次男と妻の知人への近況報告がメインで、自分の分はここ数年出さないようにしている。

最寄りの郵便局まで歩いて、ふと近隣の神社にお参りしてみようと思いつく。まず小学校の裏山の示現神社。田熊区の鎮守で、大木も多く、元日でもなかったら気味悪くてお参りできなかっただろう。照明はついていたが、他に参拝する人はいなかった。

次に街道を歩いて、東郷区の鎮守である摩利支神社に向かう。ここも幟が立ち、テントが張られて、すっかり正月仕様だが、境内には人っ子一人いない。うづくまった狛犬がとびかかってきそうで、恐い。

ここまで来たら、三社参りにしたいと大井の鎮守、和歌神社まで足をのばす。こちらは特に初詣を意識していないのか、境内は暗く、短く切られた大木が恨めしそうに立っていた。天頂近くの月の光が頼りだ。

示現(じげん)、摩利支(まりし)、和歌(わか)と、個性的な神社名があやしい雰囲気を演出する。一時間以上歩いたが、参拝客どころか道ですれ違う人も一人もいなかった。宗像大社に向かう遠方の参拝客の車が通りすぎるばかりだ。

薄暗がりの道を歩いていると、なんだか夢の中で手足をばたつかせているようなあいまいな気分になる。どのくらい歩いたのか、判然としなくなる。住宅街にあがる坂の途中で、猫がひかれて死んでいる。正月そうそう悲しむ家族がいるだろう。手を合わせて、足早に家に戻る。なんだか家の猫が心配で。