大井川通信

大井川あたりの事ども

回転寿司の憂鬱

今年に入ってから、店内での迷惑行為(いわゆるスシローテロ等)がSNSで拡散され、回転寿司の利用客が激減したという話は聞いていた。しかしさすがに客足も戻っているだろうと、恐る恐る土曜の昼時に「くら寿司」を夫婦でのぞいてみたら、すんなり入れただけでなく、空いたテーブルすら目立っている。

キツネにつままれたような気分になった。

郊外のこのあたりでも、回転ずしや「餃子の王将」といった庶民の味方のお店は、食事時にはかなりの待ち時間を覚悟しないといけない。

休日に、妻や子どもたちに何を食べたいかと聞いて、回転寿司と答えると、僕が休日のこんな時間に入れるわけないだろうとあきれたように答えるのが、我が家の定番のやり取りになっている。

ところが、「こんな時間に」なんと入れたのだ。うれしいことだが、こんな客入りでは、今までの低価格サービスが難しくなってしまうかもしれない。それは困る。

地元の庶民たち(ビンボー人同志)よ。君たちの回転寿司愛はそんなものだったのか、と訴えたくなる。あの程度の風評被害で入店をためらうとは。

僕の子どもの頃は高級食だった寿司が、回転寿司のおかげで、手軽に利用できるものになった。しかし、初めの頃は、お皿の色で値段が変わっていたから、子どもが手を出す皿を監視していなければならなかった。100円の皿には大したネタがのっていなかったのだ。

ところが、スシロー、くら寿司の登場によって、お皿の色を気にせずにうまいネタを腹いっぱい食べられるようになったのだ。この大恩を忘れることはできない。

止まっている(高級)寿司屋では、目測を誤って寿司皿をうまく取れない(手を伸ばす位置が進行方向にズレてしまうから)という、僕が若いころからのオリジナルギャグをこの先も使えるように、回転寿司のこの先の繁栄を祈念したい。