大井川通信

大井川あたりの事ども

それぞれの戦い

新年になって一か月が経とうとしている。宇部へのプチ家出から始まった一年は、僕にとって幸先のいいものではなかったが、家族もそれぞれに難局を迎えているようだ。

長男は、転職活動で内定をもらい今のレアメタルの会社を辞めることになりそうだ。初めの転職の時は腰が据わっていない印象だったが、今回は自分のキャリアにプラスになるための転職という方針がはっきりしている。同じ年の頃の僕よりはるかにしっかりしているし、仕事もできる。陰ながら応援するしかない。

次男は求職活動中だが、自動車教習所の仮免許の学科試験でつまづいている。まじめで頑張れる性格だが、特別支援学級・学校でゆっくり勉強してきたから、一発勝負の試験の勉強の仕方がわからないのかもしれない。ナイーブな父子関係だから、励ましやアドバイスのつもりで声をかけても素直に受け取ってもらえない。かたくなに自分でやると言い張っている。合格点近く点はとれるのだが、ひっかけ問題をこなせないようだ。

それで、本屋でひっかけ問題対策の薄くて勉強しやすそうな問題集を二冊選んできて、本人に手渡した。少し表情が明るくなったから、良い結果に結び付くといいと思う。

妻は、最近定期検査を二つクリアして喜んでいるものの、担当医から嫌味を言われたと文句をいっている。話を聞くと、以前から妻の心配性からくる言動を担当医がよく思っていないのが原因のようだ。自分にも非があるかもしれないし、他人の言動を気にしたら自分の首をしめることになるからスルーしたほうがいいとアドバイスしても、受け付けない。友人知人に相談して、そうだそうだと「あおって」もらう方が落ち着くのだろう。

今週末に開催されるはずだった博多のマルシェが中止になってしまったのは、小物づくりが生きがいになっている妻には痛手だろう。

東京の姉から連絡があり、かなり重い肺炎で入院したということで途方にくれる。本人も意外だったようだが、今まで大病をしたことはなかった。姉には両親の世話で大きな負担をかけた上に、昨年は妻のことで迷惑をかけてしまった。姉にできるだけ気づかうことは亡くなった両親も望んでいることだと考えている矢先だった。

人間が他者のために本当に「祈る」のはこういう時だと実感する。なんとか快方に向かっているようだが、なんらかの後遺症は残るかもしれない。僕もコロナ肺炎重症時の経験を書いてラインで励ます。

狭い身内に限っても、これだけの戦いがある。誰も気楽に生きている人間はいないのだと肝に銘じる。