大井川通信

大井川あたりの事ども

あの白い小枝みたいなやつがほしい!

街を歩いたり、電車に乗ったりすると、耳に短い白い小枝みたいなものをひっかけている人をよく見かける。あれはいったいなんだろう?

なんてことはさすがに僕でもありません。あれはワイヤレスのイヤホン。ずいぶん前から売り出されていることに、情弱の僕でも気づいてはいた。ただ、少なくともこの数年の間に老若男女すべての年齢層に浸透して、有線のイヤホンをつけている人をほとんど見かけなくなってしまった。

僕は常時音楽が流れていないと調子が出ないなんていうタイプの人間ではない。かえって音がない方が物事に集中できるくらいだ。しかし、語学の勉強は好きなので、それで、あの耳の穴の小枝にあこがれているのだ。

今は挫折しているが、今年の初めには英語の検定試験を受験しようと決意したくらいなのだから、あの小枝は絶対に必要だ。

僕の語学学習の基本は、自室のCDプレーヤーとマイカーのCDプレイヤーで、語学教材の付録のCDを挿入して音を聞く、というものだ。部屋から車へ、車から部屋へとCDを持ち歩いている。なんたる時代錯誤! 

とはいっても、音を出すのはCDという物体であるという思い込みが強く、そこから音声データという情報が分離されて自由自在に動き回り、便利に使えるということが、実感できない。

たぶんこのハードルをクリアしないことには、あの白い小枝みたいなやつを使いこなすことはできないだろう。白い小枝を買うことはできたとしても。

まずは、かつてCDに定着していた音声データが分離する仕組みと、そのデータ単独の流通経路を突き止める事。CDを再生するのではなく、音声データそのものを保存したり再生したりする機器が何かを突き止めること。そのうえでその謎の機器と、あの白い小枝との無線での接続を試みること。

おお、実に論理的だ。僕にだってこれくらいのことはわかっているのだ。しかし情報弱者たるゆえんは、ここから身体が前にむかって動かないのだ。情報という未知の存在がこわくてこわくて仕方ないのだ。

しかし、今年に入って、あたらしいノートパソコンと最新のiPhoneを導入した。僕の情報環境は一新されて、誰がみても恥ずかしくないものになっている。ネット会議もぐずぐずと接続できないうちに会議が終わるなんてことはなくなったし、ラインだって始めたのだ。どうだどうだ。(インスタとⅩはまだだけど)

そう、だから、あの白い小枝みたいなやつ、ほしい!