大井川通信

大井川あたりの事ども

セミの幼虫はなぜ地中生活が長いのか?

これは僕の鉄板ネタなので、当然ブログの記事にしていると思った。今回、矢野智徳さんの話を聞いて、このネタに論点を付け加えて改良できることに気づいたのだが、そもそも引用できる元の記事がないので、はじめにそれを簡単に紹介したい。

 

・まず、セミの幼虫の地中生活の期間を聞いてみる。7年と覚えている人が多いが、実際はクマゼミでも4、5年のようだ。いずれにしろ地中生活が長いのは間違いない。

・成長するのに時間がかかるというのが誰もが気づく理由だが、もっと大きなカブトムシが次の年には成虫になることを指摘する。さらに、幼虫は木の根に口を差し込んで食事をするが、それで木が枯れたという話を聞かないという補助線をいれる。

・ここで種明かし。幼虫は樹木の「導管」で吸い上げられる水分の中のわずかな栄養分で成長する。樹木の栄養を横取りしているわけではないので、たくさんの幼虫と樹木が共生できるのだ。

 

以上に、新しい論点が加わる。地面の中を移動して生活し、羽化の時には地上に出るために穴をあける幼虫は、地中の目詰まりを防ぎ、水や空気の循環を確保することで、樹木の環境にプラスに作用しているのだ。たしかに公園の固い地面にうがたれたたくさんのセミの穴は、地中に空気や雨水を導入する効果があるように思える。

樹木の栄養を無理に横取りしないばかりか、樹木に快適な環境を作ることを通じて、セミは樹木と共生している、というのが新たな結論。