大井川通信

大井川あたりの事ども

ゲンゴロウの田んぼ総括

8月15日の「終戦記念日」に大井の田んぼで、大型ゲンゴロウ(正式な名称はコガタノゲンゴロウだからややこしいが)を見つけてから、足しげくその田んぼに足を運ぶようになった。こんなに田んぼをのぞくのは、10数年ぶりだ。

たしかに自然豊かな田んぼで、水生昆虫たちが好みそうな環境だが、その後、大型ゲンゴロウどころか、ハイイロゲンゴロウとコガムシ・ヒメガムシ以外まったく姿を見せない。同じ日に見つけたコシマゲンゴロウの姿さえ、その後一度も見ることができないのだ。

上の三種だけなら、大井の他の田んぼでも見つけることができるわけだから、そもそも僕がこんなにこだわって通うことがないだろう。あの日の出会いがいかに奇跡的だったかがよくわかる。

釣川沿いにはかなりの面積の田んぼが広がっていて、たんねんに歩くと、ある程度環境の良い田んぼは他にもあるし、耕作が放棄されて沼となって近づけない田んぼもあるから、飛翔力のある大型ゲンゴロウが同じ田んぼにとどまっているわけはないのだろう。

農業が人間に都合よくどんどん近代化されて、水生昆虫にはますます住みにくくなっている環境の中で、しぶとく生き抜いてきた大型ゲンゴロウだ。生き抜くための相当の生活の知恵をもっているとみていい。僕のようにボーっとした人間に簡単につかまるようでは困るのだ。

ただ、僕はあの日、かなりじっくり大型ゲンゴロウを観察することができた。畔に近い浅い水面に近づいてきたときには、たまらず手を出して水ごとつかみ出したのだ。ゲンゴロウは、土の上に落ちると、すぐさま跳ねて田んぼの中に戻ってしまった。

一瞬でも、僕の手のひらの中にいたゲンゴロウ。これは大切な思い出だ。

 

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