大井川通信

大井川あたりの事ども

カレハガの擬態

僕の家の駐車スペースは、家屋の北側にあって、隣家の敷地(一メートル以上高い)との間に挟まれているから、少し湿っぽい。だから時々、珍しい昆虫がやってくる。

車の乗り降りの際に、家の壁板に枯れ葉が引っかかっているのに気づいた。次の乗り降りの時にも、まだ付いたままだったので、何気なく手で払おうとして思いとどまる。

これ、もしかして蛾かもしれない。そう思いながらも、どう見ても枯れ葉にしか思えない。ただよく見ると、前足らしきものの先端が枯れ葉みたいな羽の部分から少しはみ出している。気持ち悪かったので、ひとまずスマホで写真をとって無罪放免にした。

図鑑で調べると、カレハガ(枯葉蛾)だとすぐにわかった。とにかく見事な擬態である。羽の色合いやギザギザが枯葉に似ているなんていうレベルではない。どういう羽の畳み方をしているかわからないが、とにかく蛾らしい形状がすっかり隠されている。頭や足やお腹の部分をすっかり隠して、枯れ葉でテントを張ったみたいな姿に化けているのだ。

以前、同じ場所でイシガキチョウを見つけて驚いた。事故か何かでボロボロになった瀕死の蝶かと思ったが、それが立派な完全体だったのだ。

身近な虫もまだまだ面白い。