大井川通信

大井川あたりの事ども

へびゴマ物語(その2 ついに発見!)

まだおっさんちのお店の建物が残っているうちは、あの中にへびゴマのおもちゃが残っているかもしれないから、なんとか入れないかと考えたりした。大人になって東京を離れたあとも、深夜のおっさんちに侵入する夢を未練がましく見ることがあった。

やがて観光地やデパートなどで駄菓子屋を模した売り場が目につくようになるが、そんなときには、きまってへびゴマがないかを探した。まだパソコンもネットもない時代で、他に調べようがなかったのだ。

月日はすぎて、とうとうへびゴマと再会する日がやってきた。それは駄菓子屋コーナーで、ビニール袋に包装されたカラフルなプラスチックのコマに様変わりしていた。「へびゴマ」という名前を知ったのもこの時だったかもしれない。

幼児の玩具のような大き目で不格好なデザインだけれども(初代はもっとすっきりしていたのだ)、ブリキの薄板のへびがコマの足もとでニョロニョロと前後する動作はまさにへびゴマだ。僕は充分満足した。

実は、このあとも僕はへびゴマ類似のコマを見つけている。遊園地の売店だったろうか、空飛ぶ円盤型のコマの足もとで、宇宙が描かれた楕円形の薄板が四方に動き回るというもので、原理は同じだが正確にはへびゴマとはいえない。

そのあとネットが一般的となり、検索で僕がおっさんちで出会ったものとよく似たコマの画像や動画を見つけることもできたのだが、そんな貴重品を手に入れることができるとは思えなかった。

これが今から10年前くらいまでの状況だ。