大井川通信

大井川あたりの事ども

座骨神経痛がやってきた

僕がはじめてぎっくり腰をしたのは30歳くらいの時だったろうか。一人暮らしをしていたとき、腰の痛みで布団から起き上がることもできなくなった。洗濯物を干すロープを身体にぐるぐるまいてサポーター替わりにして何とか起きだし、整骨院に行ったのを覚えている。

それ以来、年に一回か数年に一度くらいの間隔で、整骨院の力を借りなければいけないような大小の腰の痛みに襲われるようになった。洗面台で朝急に腰を曲げるとか、重いものを不用意にもつとか原因がはっきりしていることが多い気がするが、いつのまにか腰に違和感を感じるようになる場合もある。

たいていは、腰を痛めた自覚をもってから数日間は重くなる一方だ。この時生活に支障が生じて対症療法的に整骨院にかかることになる。ただ通院は一度かせいぜい二度くらいで、治療の効果というよりは、自然の経過により数日間で痛みが収束に向かう。発症から一週間とか10日くらいで収まる感覚だ。

やや遅れて、背中の痛みにも襲われるようになった。こちらはたいてい首から背中に走る筋を痛める感じで、部位は肩甲骨のわきくらいであることが多い。こちらも頻度や経過は同じようなものだが、車に乗り降りしたり歩いたりすることに不自由はないので整骨医にかかることはなかったと記憶する。なんともいえない嫌らしい痛みに耐えるしかないのだ。

前置きが長くなったが、ようやく座骨神経痛だ。これは、近年痛むようになったもので、おそらく発症もまだ二度くらいしかない。痛みの経過も頻度もいまのところ普通の腰痛と違いはない。実は座骨神経痛というのも素人なりの診断にすぎない。ただ、明らかに痛みの質が違うのだ。

足の付け根やその外側、あるいはお尻の奥とか、今までに痛んだことのない部位に嫌らしい痛みが続き、しかも痛みの箇所が移動するような感覚がある。喉元すぎればどう表現していいかわからなくなるが、足が取れそうな、というか足を取ってしまいたくなるような、だるい鈍痛だ。

腰痛の場合と違って、痛みの部位が移動するだけでなく、その終わり方も独特だ。今回も午前中までは座っているだけで痛かったのに、気づくと午後にはその痛みがすっかり消えていたのだ。素人目にも、筋肉の炎症でなく、神経の伝達異常の問題であると思える。

とりあえず僕の武器は、民間療法「背骨コンディショニング」の座骨神経ストレッチだ。寝そべって片足をまっすぐ持ち上げ、つま先をタオル等で引っ張って、足の裏側の神経を伸ばすという簡単なものだが、やっていてなんだか効きそうな気がする。しばらくサボっていたが、これはやるしかないだろう。