大井川通信

大井川あたりの事ども

財布紛失騒動

次男が昨晩から膝が痛いというので、かかりつけの整骨院につれていく。診療の間、モールの中にあるカフェで本を読んで待っていたが、次男が戻ってきた後も、荷物を置いたままドラッグストアにサポーターを買いに行ったりバタバタしていた。

家に戻って、少しうとうとしたあとで、車を使おうと思ったが、財布がない。いつも意識的に置いている場所。無意識に置きっぱなしにしてしまう場所。鞄の中。衣類のポケット。自動車のシートの下。

心当たりを一通り当たったあと、見逃しがあるかもしれないから、再度ていねいに探してみたが、どこにも見当たらない。ここまで来て、これは、尋常でない事態だと気づき始める。

失くすとしたら、カフェのシートへの置忘れだろう。意を決してカフェに電話するが、忘れ物の届はないという。モールのサービス窓口も同じ答え。現金も4万くらい入っていたから持ち逃げされたのだろう。

カフェを出るとき、シートやテーブルに忘れ物がないことをチェックするのを習慣にしていたが、次男の治療の心配があって、バタバタ席を立ってしまった気がする。薬局でサポーターを買って戻ってきたとき、手に持った財布をシートにポンとおいてしまったのだと推測する。

しばらく前に同じカフェで、隣席の人が椅子に財布を置き忘れたので、声をかけて感謝されたことがあった。あの善行が報われることはないのか! 

ここにきて、覚悟を決めた。今春作ったばかりのクレジットカードと郵便局のカードの無効化の手続きをする。免許がないから自転車で最寄りの郵便局まで走り、残高から預金の引き出しがないのを確認して、それだけはちょっと安心する。帰り際、交番で免許証の紛失の手続きをしようかと思いついたが、明日にしようと思いとどまる。何事につけて、自分には抜けがあるからだ。この判断は良かった。

家に帰り、絶望的な気分で、自室にこもっていたときだ。やけになって部屋の片づけをしながらも、今さら荷物の奥から財布が出てくる可能性などまるで信じていなかった。その時、ふと視線を上げると、棚の目立つ位置、たしかに目立つが今まで財布など置いた事のない場所に、懐かしい我がお財布が鎮座していたのだ。

おそらく、自室のこまごまとした持ち物に紛れないように、ぱっと目についた目立つ場所に財布を置いたのだろう。しかしその時「抜け」ていたのは、そこが今まで財布を置いた事のない場所で、探すときにはスルーしてしまいがちという問題点だった。

心から、ひたすら、安心する。