大井川通信

大井川あたりの事ども

カメラと鳥見

河口付近の枯れ木の梢で、カワラヒワがキリリと小さく鳴いている。双眼鏡で見ると、左右に首を振り向けながら、そのつど首をかしげている。可愛いのが半分、奇妙なのが半分の動作だ。何のためにしてるのか、考えながら歩いていると、望遠レンズ付きのカメラで、上空をねらっているおじさんに出くわしたので、声をかける。

ちょうど河口の上空では、二羽のミサゴが自在に飛び回りながら、獲物の魚をめがけてダイブを試みているところだ。今、この河口には、よそ者の1羽も加えて、5羽のミサゴがいると教えられる。千枚撮って、気に入るのは数枚だともいう。おそらく水しぶきの立った水面から、大きい魚を両足でつかみ取って飛び立つ瞬間を狙っているのだろう。撮影の合間に、少し猛禽類のことを教えてもらう。この川周辺には、ノスリチョウゲンボウだけでなく、なんとハヤブサもいるそうだ。

本格的に鳥見をしている人は、たいていカメラを構えていて、そのためいっそう鳥の生態にも注意深くなるだろう。いい写真を撮るのは、記念にも励みにもなるはずだ。僕がカメラを持たないのは、単に無精者だからというだけだが、その方が、鳥たちと心を開いて気楽に付き合えるという気持ちもある。僕には、自分の生活圏の中でしか鳥見をしないという原則があるのだが、それとも多少関係しているかもしれない。