大井川通信

大井川あたりの事ども

『ふしぎなバイオリン』 クエンティン・ブレイク 1968

定番の「岩波子どもの本」として1976年に翻訳出版されているが、現在では新刊で入手できない。クエンティン・ブレイク自身の絵本としては最初のものらしく、絵もストーリーも少し稚拙な感じがする。

パトリックが原題だが、その名の若者が中古のバイオリンを手に入れて、野原で演奏すると、魚や牛や鳥がカラフルに染められて踊り出し、最後には人間が乗る荷馬車までが彩豊かに幸せになって、みんなそろって町に帰っていったというお話。

次々とあつまる動物のキャラクターが仲間になって、それらを引き連れてパレードしていく、というパターンは、絵本にはよくあるような気がする。どんどん足されていくことの面白さ。

こういう一直線な繰り返しや加算の物語は、後年のブレイクの絵本にも多いが、大人が読むにはちょっと物足りないも。主人公のキャラも平凡な気がする。