大井川通信

大井川あたりの事ども

こんな夢をみた(その1)

あれ、この原っぱ、もうつぶされて家が建っているんじゃなかったっけ?

久しぶりに帰省した僕は驚いて、実家のドアを開けて母親に聞こうとする。しかし、ドアに触れるよりも前に、僕にはその答えがわかったのだ。なるほど、そうか。実家は、ずいぶん前に改築しているはずだが、目の前の家は改築前の姿だ。それならば、隣の敷地の原っぱがもとのままなのも納得できる。

昔から、隣の敷地との間には塀や境界がなくて、雑木がまばらに生えた原っぱを、僕の家では自分たちの庭のようにして使っていた。家から出るごみを焼却する穴も掘ってあったし、木登りや、キャッチボールをして遊んだ。夏には蝉取りをして、秋にはクリの実をとって食べた。しかし、何年も前に、転売されて、小綺麗な住宅がぎっしり建てられていたのだ。

懐かしく思って、原っぱながめていると、草地に胸のあたりまで埋められて、こちらを見上げている人がいることに気づいた。テレビで見たことのある芸人のようだがよく思い出せない。僕は、そのあたりに、子どものころ、グリコのおまけの鉄人28号を埋めたまま失くしてしまったのを思い出した。せっかくなので、聞いてみる。「あの鉄人のおまけ、どこにいったんでしょうね」

彼は埋められたまま苦しそうに首を回して、あたりを見回す。彼の視線の先に、原っぱのはずれで遊んでいる子供たちの姿があった。彼は答える。「鉄人は、こどもたちの心の中に生きているさ」

僕はしらけて、それはないだろうと思った。しかし、思ってもいないお世辞を口にしてしまう。「それ、メモしてもいいですか」  (2013.12.24)