大井川通信

大井川あたりの事ども

ヒメハルゼミの研究(その2)

仕事が終わってから、近隣では最大の鎮守の森がある宗像大社へ。午後6時を過ぎて人気のない境内を歩く。うっそうとした大木の並ぶ小道を歩いて、小山の上の祭祀場に向かう。奥の森からヒメハルゼミの鳴く声が小さく聞こえてくるが、アクセス可能な場所にはセミはいない。

釣川を渡って鎮国寺に移動。午後6時半。小山の中腹にあり、深い森に囲まれている寺院だ。案の定、境内脇の林でヒメハルゼミが鳴いているが、それも二カ所ほどで、数も多くはない。しかし、近くの木で一匹が鳴くのを聞くことができたので、単体がどう鳴くかを知ることができた。前回の推測を修正しないといけない。

「ミーン(ギーオ)ツクツク(ジリジリ、カラカラ)」を繰り返し鳴いていたのだ。リズムとしては、ツクツクボウシが繰り返す、オーシン・ツクツクのフレーズとよく似ている。前半を大声でゆっくり叫び、後半は小声で早口に付け足される。

ただしツクツクボウシなら、鳴き始めと鳴き終わりにメリハリがあって、フレーズの繰り返しもスピードアップしていくのだが、ヒメハルゼミの方には、はっきりした約束事はないような感じがする。しかもツクツクボウシなら、いくら集まっても声は混じらないだろう。どうしてあんな分厚い波のような合唱となるのかは謎だ。

このあと、近隣の旧村社である鎮守の森を三カ所、足早に訪ねたが、どこでもヒメハルゼミの声を聞くことはできなかった。ヒグラシやアブラゼミが単独で鳴いていたぐらいである。途中、和歌神社に7時前に寄ると、昨日と同様、ヒメハルゼミ蝉しぐれだ。他の神社よりも周辺の都市化が進み、道路わきの平地にあるというのに。

ただ和歌神社の森は狭いけれども、大木が寄り添うように生えていて、足を踏み入れられない傾斜地にある。やはり特別な「聖地」なのだと知って、満足する。