大井川通信

大井川あたりの事ども

河川敷の空中戦

冷たい寒波の風が吹くこの時期は、河川敷の散歩は気がすすまない。昼休みに銀行まで歩く用があるので、久しぶりに河原の沈下橋などを歩いていると、いいことがあった。下流から、しなやかな翼を広げた白っぽいタカが飛んでくる。ミサゴだ。それも二羽。

前にも、ここでミサゴらしき鳥を見かけたことはあったが、はっきり確認できたのは初めてだ。以前の職場は、小さな河川の河口近くにあって、海外沿いや汽水域でミサゴを当たり前に見ることができた。その河口から5kmばかり上流の大井川流域にもミサゴが顔をみせることがあった。

僕が今散歩しているのは、もっと大きな川の河口から30kmほど上流の小都市の河川敷だ。広い川面には魚の姿も見えるので、この辺りまでは狩りの行動範囲なのかもしれない。

二羽は僕の頭上まで来ると、一羽が一羽を追いかけるように円を描いたり、二羽が別の円を描きながら、一点でクロスしたり、見事な編隊飛行を見せてくれる。まるでブルーインパルスだ。僕も大きく手を回して、上空の二羽を操っているような気分になる。

ミサゴの多い河口でも、二羽がそろってこんなに愛想のいい姿を見せてくれた記憶はない。上流で出会った珍しい観客へのサービスだろうか。

上空に目を凝らしていると、視界に別の鳥のペアが飛び込んできた。一羽はカラスだけれども、もう一羽は、一回り小さい茶色のタカだ。おそらくハイタカだろう。カラスが追いかけているようだが、小さいタカの方も反転して攻撃を仕掛けている。

互角の空中戦のようだが、じりじりと街の上空の方に場所を移し、やがて二羽は分れて、カラスがもと来た方に飛び去っていく。肩をすぼめて速度をあげるポーズ(あまり見たことがない)を見せたのは、タカを追い払って気分が高揚しているのだろうか。

はるか上空での鳥たちのドラマに魅せられて、大空に吸い込まれるような気分になった。