大井川通信

大井川あたりの事ども

さようなら、片峯さん

飯塚市長の片峯さんが今日亡くなったという報道に驚いた。とにかく精力的な人でまだ67歳。僕が仕事でかかわった人の中で、とにかく気持ちがよく、無類の魅力をもった人だった。

教育長時代に他にさきがけて取り組んだのが、小学校でのタブレット端末の配置とオンライン英会話。これからの時代にはICTと英語力が社会人の必須科目だが、家庭の経済力によって出発点で格差がついてしまう。そういうのは僕は嫌なんです、ときっぱりと言い切った口調が耳に残っている。筑豊同和教育のまっとうな精神的継承者だった。

教育力で敬遠されるイメージのある地元で「教育先進都市」をうたい、小学校での学習のつまずきを回避する指導モデルMIM、基礎学力の向上を目指す徹底反復、対話型の協調学習等のメソッドを、大胆なリーダーシップのもとに導入し、組織的なマネジメントを徹底させることで成果を挙げた。

論客で話好きな片峯さんに対して、「とんでも教育論」を擁した僕が語り倒してしまったことがあるのも良い思い出だ。前市長の不祥事での退任を受けて、転身への決意を語ってくれた時の真摯な表情。僕が再び飯塚に赴任したあとで、歓声をあげて再会を喜んでくれたことも記憶にあたらしい。

政治家の政治資金パーティーで、面妖な政界の大物たちにまじって登壇した片峯さんが、一人人間らしいすずやかな表情を失っていないことにホッとしたこともあった。

ただし片峯さんが、あの早世した才媛小山田咲子さんの中学時代のバスケ部の顧問だったことを知る人は少ないだろう。僕がプレゼントした彼女のボーカルの入ったCDを、喜んで車で聞いてくれたことも。

片峯さん。お疲れ様でした。僕も残された時間の少ないことを自覚して、日々を真剣に生きたいと思います。