大井川通信

大井川あたりの事ども

初代ターセル後期型ソフィア

箸休めにもならない内容だが、僕が生まれて初めて購入した車がなんであったか、という話。

会社員になって二年目だと思うが、中古車屋から40万か50万くらいで1300㏄の3ドアの赤い小型車を買った。1985年のことだ。免許を取ってから1年以上空いていたから、ハンドルを握ってお店の前の道にドシンと乗り出した時の感触と緊張感は、今でも覚えている。

トヨタのコルサと説明を受けていたけれども、お粗末なことに実際は兄弟車のターセルだった。今写真で確認してもフロントグリルの形状などからターセルであることはまちがいない。

初代ターセル/コルサ(1978-1982)は、トヨタ初のFF(前輪駆動)車として開発された車で、僕が購入したのはマイナーチェンジ後の後期モデル(1980-)だったことになる。ロングホイールベースを売り物にした胴長のスタイルは、当時から評判が悪く、実際あまり売れなかったようだ。

80年代半ば以降は、3ドアハッチバックのコンパクトカーが人気の時代で、シビックやファミリアのスタイリッシュな外観に比べると、同じ形式ながらなんとも古めかしく見えた。何よりボンネットの先に突き出たフェンダーミラーがダサかったのだ。

それだけでなく、赤白のツートンのシーツなど内装も赤系で、ボディ両サイドに黄色いモールが貼られているなど、どことなく変なところがあった。車に疎かった僕にはわからなかった違和感の謎が、今のネット情報をもってすれば解明できる。

当時のスナップ写真をみると、車の後部にSophiaという小さなエンブレムがついている。ネットで検索すると、これは81年4月に女性向けお買い得モデルとして、不人気のてこ入れのために投入されたソフィアというモデルだったのだ。中古車販売店はそんなことはおかまいなしに、僕にこの車をすすめたのだろう。

僕は九州と東京で計5年間、この車であちこちを乗り回した。阿蘇や広島、松本城にも足を伸ばした。塾講師を辞めて転職しようと決意したとき、実家の近くの販売店で、この車を引き取ってもらった。店を出て最後に振り向いたときの、赤い車のなんだか寂しげな姿が目に焼き付いている。