大井川通信

大井川あたりの事ども

カラスの攻撃(続き)

翌朝、同じところを通ると、野原のさきで相変わらずカラスがしゃがみこんでいる。芝生の養生のために立入禁止のロープが張られている場所なので、とりあえず人は近づけない。同僚に昨日の武勇伝を話すと、さっそく見に行って、報告してくれた。

二羽のカラスが警戒していて、近くにいくと大声で鳴き、威嚇されたそうだ。飛べないカラスは小柄なので子供ではないか、という。

昼休みに見に行っても、状況は同じだった。カラスには気づかずに近くを散歩する老人にも、頭近くを滑空して驚かせている。この二羽の辛抱強さからすると、同僚のいうとおり飛べないのは二羽の子どもなのかもしれない。

偶然間近く見た時の姿を思い出すと、たしかにあどけない表情をしていた気もする。上手く羽を広げない様子だったけれども、何かのアクシデントで十分成長できないうちに巣から落ちたか、病気やケガが原因なのかもしれない。ただ、上空の二羽が下のカラスに近づく場面が見られないのは不思議な気もする。

その日の帰りの時も、翌朝も状況は同じだった。変化が起きたのは三日目の昼休みだ。今までの場所にカラスの姿が消えている。しかし上空のカラスたちはまだ警戒を解いていない。これはその日の帰宅の時も同じだった。

身を隠すところは見当たらない場所だけれども、どこかに上手くもぐり込んだのだろうか。二日間動けなかったカラスにそんな芸当はできそうもないが、そうでも考えないと、上空のカラスたちの行動が理解できない。

一応調べてみたが、野鳥の自然状態での怪我や病気の保護は公的には行われていないようだ。この公園のカラスは、弱ったハトを食べることがある。彼らの生死には、彼らのルールがあるのだ。ここで週末。この先を見届けられないのは少し残念なようでも、ホッとしたようでもある。

 

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