大井川通信

大井川あたりの事ども

台風襲来

台風11号がやってきた。台風は夏から秋にかけての風物詩や年中行事みたいなものなのだが、その姿は少しずつ変わってきたのを感じる。

気象観測や予測の精度があがり、勢力や接近の時間までが事前にわかるようになったことが大きい。確実に発生が予見できる災害なのだから、行政など責任ある立場の者がその対応をおろそかにするわけにはいかない。交通機関の運休や学校の休校などが早くから決まるようになった。

危険があってはならないとする安全信仰や自然をコントロールしようとする欲望も強まっている気がする。もちろん僕も自宅の備えは怠らないから、他人事のようには言えないが。

一方、本当に大きな災害の出る台風がそんなにしばしばあるわけではないから、対策はフライング気味になることが多い。

今回も、朝方の風はすごかったが、午前中早いうちに通り過ぎてしまって、昼前に街に出た時には、木が折れたり、物が飛んだりといった被害の痕跡すらまったくなかった。ちょっとキツネにつままれたような感じだった。

台風自体の体感と、実際の被害の有無の因果関係が、何度台風を経験しても今一つ分からない。おそらく風力と被害は比例しているのではなく、ある限界値を超えた場合に持ちこたえられずに被害が発生するという仕組みになっているのだろう。

あと、今回あらためて気づいたのが、大風の凄さを可視化するのが、それによって揺り動かされる木々の存在だということだ。近ごろの住宅街では、植木が激減している。近所でも木々のまったくない街路では、たとえ台風の直下でも、動くものがまるでなく恐怖がほとんど感じられないのだ。