大井川通信

大井川あたりの事ども

酒を飲まないという人生

吉田さんとの例月の勉強会。僕はよいテーマが思いつかず、最近のブログから新語についての記事をまとめてレジュメにした。「おっさんビジネス用語」「食い尽くし系」「時間を溶かす」「押し活」「宗教2世」など。

新語が浮上する背景には、価値観の変化がある。このあたり同世代である吉田さんとは、かみあった議論ができたと思う。話している中で、吉田さんも僕と同様にかなりの「食い尽くし系」であることが発覚したが、これは日本の高度成長期以前の「貧しさ」を直に体験しているかどうかが大きいと納得した。

しかしそれ以上に驚いたのは、吉田さんが酒を(たばこもだが)まったく飲まないという事実だった。吉田さんとは10年の付き合いになるし、少なくともこの5年間は月一回は会って長時間議論してきた。その間、安部さん宅でのパーティーに同席することもあったが、その時も酒を口にしていなかったのだろう。

考えてみれば、ソフトドリンクを飲みながら何時間も話をするという行動パターンをずっと続けていて、今度一緒に飲みましょうという日本社会の決め台詞をお互い一度も出したことがなかったという事実から、そのことは推測してしかるべきだったのだ。しかし、吉田さんの社交性と人付き合いの多い仕事柄、当然酒もたしなむのだろうと思い込んでいた。

こうしてお互い意気投合して、人生の大半苦労してかかわってきた「酒飲み文化」についての悪口雑言を言い合うことになったのだ。やはりその思いはほとんど同じだった。この件については話したいことはいくらでもある。

ただ、このブログで取り上げるに値することは、吉田さんの話し言葉における論理への執着とその徹底性についてだ。やはり酒を通じたコミュニケーションに頼ることになると、言葉についてどこか甘い部分ができてしまう。酒席のムードに流された言葉のやり取りは楽だし、ほとんど意味をなさなかったりする。

僕の経験でも、読書会や勉強会の場で二次会の酒席の方をせかしたり、二次会が本番だという人に限って、一次会でも二次会でも実のある発言がなかったような気がする。厳しい言い方になってしまうけれども。