バードウォッチャーを自称して、一時はその記事も多かったが、近頃はすっかり鳥のことも書かなくなった。思い返しても、この冬は街中でイソヒヨドリのメスの姿を見かけたくらいだ。あとミヤマガラスの群にも会えた。しかし、フィールドを歩き始めさえすれば、しっかりと出会いはある。
久しぶりの大井川歩きで、帰り道、大井川の小さな土手をたどってあるいてみる。微妙な曲線が心地いい。大井川炭鉱の入り口付近では石炭運搬のトラックが回り込むために土手の幅が広くなっていると教えてくれたのは、亡くなった永井さんだ。
金丸橋の手前の水面のわきの枯れたやぶに、鮮やかなグリーンの背中が。カワセミだ。至近距離で見るカワセミの色彩は見事だ。こちらに気づいて、カワセミが金丸橋の下をくぐって飛んでいく。
橋の反対側から水面をのぞきこむと、そこはコンクリート壁で水がせき止められて、水流に段差ができている。小魚がさかんにさかのぼろうとジャンプしているのだが、そこに見なれない大きな鳥がいる。体型からサギの仲間なのはわかるが、全身が茶褐色で、そこに細かい白い斑点が無数に入っている。目の周りは赤く、くちばしから目元にかけてわずかに黄緑がかっている。大きな足は黄緑だ。
至近距離でも逃げようとはせず、少し離れて観察していると、器用に小魚をすくって食べていた。家に帰って調べると、ゴイサギの幼鳥で、白い星を散らしたようだから「ホシゴイ」という別名があるらしい。
なるほど、ゴイサギと体型はいっしょだし、人をあまり恐れない生態も以前観察した成鳥と同じだ。ホシゴイは1年目の幼鳥で、二年目になるとまた別の色合いになり、三年目で成鳥になるそうだ。
犬も歩けば棒に当たる、ではなく人も歩けば鳥に出会う。今年もよい鳥との出会いがありますように。