大井川通信

大井川あたりの事ども

人間には「期待」が必要である

仕事については、「鳴かず飛ばず」の人生を送ってきた。そろそろ終わりが見える頃にこんなことをいうのも情けないが、本当のことだから仕方ない。

社会人になったとき、あらためて自分は、欠点の多い、不器用な人間だということを痛感した。なんとかぼろを隠しながら、よたよたとやってきたというのが正直なところだ。数年おきに配置換えのある、日本的な人事システムのおかげで救われたのが大きかったと思う。(容易に配置転換のない生活の場面では、さらに自分はダメだったことを思い返す)

うまくできたとは言えないまでも、多少力を発揮できてギリギリ合格点の取れた仕事は、数えてみると、転職も含めて経験した15の職場の中で、せいぜい3つくらいだろうか。

今回、その内の一つの職場に再び配属となった。自分なりに手ごたえのあった仕事だから、その地域には会うことが楽しみな人がいる。そのうちの何人からは、もちろん社交辞令も込みのことだが、声を出して再会を驚いてくれたり、仕事のやる気がわいたといってくれる人がいる。

めったに期待をかけられることがないから、こうした言葉は素直にうれしい。彼らの期待にそむかないような仕事をしなければ、という新人のような殊勝な気持ちになる。

念のために「鳴かず飛ばず」の意味を辞書でしらべてみたら、何の活躍も出来ないという意味だけではなく、将来の活躍に備えているという前向きな意味を持っているらしい。

ずいぶん待期期間が長かったけれど、僕も最後に「飛ぶ」ことができるだろうか。