大井川通信

大井川あたりの事ども

カラスの羽づくろい

通勤途中のコンビニで、車を停めて昼食のサラダを買う。コンビニに近づいたとき、街道のわきに広がる田んぼの電線に止まった二羽のカラスが目に入った。

過去にも、別の場所で、いやに仲良く寄り添うように並んでいるカラスを見たことは何度かあって、ほほえましく思っていた。しかし、この二羽の様子は、そんなものではない。明らかに一線を越えている感じ。

一回り大きなカラスの方が、ぐるっと首を回して、くちばしの先同士でつつきあったり、熱心に毛繕いならぬ「羽繕い(はづくろい)」を試みている。残念ながら双眼鏡が手元にないので、駐車場に車を置いて近づいてみた。二羽はハシブトガラスで、僕が近くから見上げても、飛び立つことなくずっとイチャイチャし続けている。

無心に羽繕いをしている彼らには、自分たちの周囲にあるものなどまるで眼中にないのだろう。二羽だけの特別な世界がそこに成立していた。彼らは今この世界の中心にいる、そんなふうに思えた。