大井川通信

大井川あたりの事ども

新型コロナウィルスに感染する ⑦(かなり悪くなる)

一般的にいうと、発症から10日くらいで一定期間発熱がなければ、コロナウィルスは消滅したと判断されるらしい。現に軽症の次男は、ホテル泊10日目で無事解放されている。発症から一週間から10日くらいの間に分かれ目があるようで、その時点で食欲が無くなったり、酸素飽和度が低下したりして、入院と治療が必要になるケースが出るらしい。僕が救急車で搬送されたのが、発症から8日目だった。

僕自身も主治医の説明や自分の身体の自覚から、状態がよくないことに気づかざるをえなかった。入院三日目からは酸素投入を増やすために部屋を移ったが、新しい機械では、温かい水蒸気のようなものと一緒に大量の酸素を身体に送り込んだ。点滴のようなパックの水分が切れた時には、鼻の粘膜がたちどころに痛くなった。

この酸素投入によって肺を休めている間に治療をするという方針のようだったが、入院初日のレントゲンと三日目のレントゲンを比較すると、むしろ悪化しているという診断である。肺の音も悪く、特に脇腹の部分は機能していないという。

これで僕もある程度覚悟を固めたのだが、実際に家に残った長男と主治医とのやりとりの内容を聞くと、さらに緊迫したものだったらしい。入院時点で肺の4割が侵されていて、重篤になる可能性がある。その場合に「気管挿入」や「エクモ(体外式膜型人工肺)」の利用の許可を求められたそうだ。「エクモ」に対応できる福岡市内の病院に予め転院する方法もあるという提案まで受けていたらしい。両親が突然入院し、そんな判断まで求められた長男の心中は察するにあまりある。

あとで聞いたのだが、抗ウィルス薬「レムデシビル」(エボラ出血熱の薬)の投与と、ステロイド薬によって、病状は回復へと転じたという。レムデシビルの認可は、いろいろな評判があったが、実際に効く薬だったようだ。妻も別の病院でレムデシビルを使って一週間で退院している。ステロイドは肺の重症化を押さえる効果があって、この二つは現在はある程度標準的な治療法となっているようだ。ステロイドは急にやめることはできないため、入院中は毎日点滴を受け、退院後も錠剤をのんでいる。

こうして入院7日目のレントゲンで、肺がかなり改善されたのが確認できて、その日に酸素吸入のレベルを落とすことができた。