大井川通信

大井川あたりの事ども

クロスミ様にお礼参りする(阿弥陀様にも)

退院後、はじめて里山に入る。このところの猛暑で朝から暑い。大井の薬師様に手をあわせている人がいるので、聞くと大井台からだという。住宅街から旧集落に歩きにきている人は多い。

林道に入って、途中車をとめている人に声をかけると、ミカン畑の収穫の手伝いに来たのだと教えてくれる。毎朝クロスミ様への参拝を日課にしているマツシゲさんご夫婦に山道で追い越される。

クロスミ様にお参りする前に、峰に沿って歩く。カブトやクワガタのいる林がないか物色するためでもある。クロスミ様には、退院の報告と感謝の気持ちを伝える。社や遥拝所、参道はあいかわらずよく整備されている。スギやヒノキの植林では、ヒグラシの抜け殻をひろったり、成虫の姿を観察したりする。

モチヤマの集落まで下りて、庭先のご夫婦と言葉を交わす。クロスミ様が整備されてお参りが気持ちよいと言うと、〇〇さんがやってくれたのだ教えてくれる。

「アミダ様にもお参りします」「神社の八幡宮もあるよ」「観音様もお地蔵様もありますよね」「よく知っているね」「よく歩かせてもらっていますから」

アミダ様にも退院の報告。またしばらくうかがえることになりましたと、心をこめてナムアミダブツを数度唱える。

道端でクモがハチに襲われているのを二度見た。ニイニイゼミが二匹とヒグラシが一匹、地べたに落ちていたが、朝から大音量で鳴いているクマゼミの死骸はまだ見当たらない。これは僕の家のケヤキの周囲でも同じだ。クマゼミの寿命が尽きるのは、まだ少し先のことだろう。