大井川通信

大井川あたりの事ども

二人の中村宏

同姓同名は探せばいくらでもいるだろうが、自分にとってある程度かかわりがある人同士の同姓同名はそんなにあるものではない。僕がまず思い浮かべるのは、中村宏という名前だ。

一人目の中村宏は、僕の高校の同級生だった。公立の中学校を卒業して武蔵境にある都立高校に進学したのだが、当時の多摩地区は一つの学区で、かなり広い範囲から生徒が集まっていた。語尾に「だべ」をつけるような級友もいて、東京人でもなまりがあることに驚いたのを覚えている。

中村宏くんは西八王子住んでいたが、僕が中学校の卒業間際に訪ねた名刹広園寺の近くに住んでいたのが親しみをもった理由だったかもしれない。色の白い可愛らしい顔立ちの男の子で、2年生になってクラスが別れるまでは、よく話していた記憶がある。

もう一人の中村宏を知ったのは、高校で中村君を知るようになる前のことだ。小学校の頃読んだ児童書の怖い挿絵の画家の名前がそれだったのだ。彼が、単なる子ども向けの挿絵画家でなく、戦後の美術史に名を刻むような画家であることにどうやって気づいたかはもう覚えていない。

1997年の練馬区立美術館の展覧会は、挿絵が好きだった小学校の同級生と一緒に見に行くことができた。その10年後の東京都現代美術館での大規模な回顧展では、ファンとして評価の高まりがうれしかった。2010年の練馬での展覧会で、偶然喫茶コーナーで出会った画家とゆっくり話すことができた。

今ネットで検索すると、ほかにもNHKアナウンサーの中村宏がいたり、コンピュータの研究者で東大教授の中村宏がいたり、いろいろな中村宏がいるのに驚かされる。

 

ooigawa1212.hatenablog.com