大井川通信

大井川あたりの事ども

馬場浦池「大非常」

夕方帰宅中にのぞくと、馬場浦池の栓がぬかれていて、ごぼごぼと水が流れ出している。このペースではすぐに水はなくなるだろうと翌朝見ると、小さな水たまりをのぞいてカラになっていた。

ため池の年間使用サイクルはよくわからないが、例年この時期に水抜きすることが多いようだ。もう稲刈りも終わって、水田に水をひく事もないからだろう。ただし、馬場浦池が養魚池を兼ねていたときは年間を通じて水があったし、周辺のため池には水抜きをしないところもある。

カイツブリの夫婦は結局秋の巣作りはあきらめていたようだが、それも良かったと思う。こんなに早いタイミングでは、ヒナが育つことはできなかったろう。ただ、カエルやザリガニなどの生物が大量に日干しになってしまう。

半月ばかり前に、散歩中の妻が、アオサギが大きなウシガエルを捕まえて飲み込む様子を写真にとってみせてくれた。その時は池の波打ち際にザリガニがうごめく様子がうかがえた。

水たまりに取り残されたザリガニは目立つが、カエルはどこかに身をかくしている。水たまりの周辺では、サギの仲間がたたずんで、逃げ遅れたエサをねらっている。

人間の毎年の当たり前の営みでも、生き物たちにとって大量死を伴う非常時だ。鳥たちにはエサにありつく機会となるが、本当は池が維持された方が、冬場の大切な水鳥の暮らしの場としてずっと役に立つのにと思う。