昨年に続き、住宅地の向かいの岡にある病院で人間ドックを受ける。退職前の職場の関連で、何十年も遠方の病院に通っていたのだが、それと同じ光景が自宅と目と鼻の先で展開しているのは、なんとも違和感がある。幻を見ているようだ。
今回はゆううつだった。僕は血液検査や尿酸値やらの数値が悪く、それでコレステロールの薬を服用しているのだが、数値を良くして薬にたよらないためには、明らかに運動と食生活と体重に管理が重要だ。
一昨年にはコロナ感染を奇貨として、退院直後にはここ何十年かの最低体重73㎏を記録している。これは病気によるとしても、順調なときには77㎏くらいをキープすることはできていた。ところが、今は、なんと自己最高体重の83㎏を越えるときすらあるくらいだ。
どう考えても、健康診断の数値は悪くなり、再検査やさらなる治療の必要が取りざたされるだろう。ただ嫌なのはそんな結果以上に、自分の自己管理能力の欠如に向き合わないといけないことだ。
体重を管理する方法は体験的には簡単なことだ。間食をやめる。ジュースを飲まない。それだけでも十分だが、適度な運動習慣をつければ鬼に金棒だ。ところが今は、間食はする、お菓子を食べる、ジュースも飲む、身体を動かすことをさぼる。全部真逆のことをしているのだから、太るのは当たり前だろう。
残り少ない人生を有効活用するための最低限度の自己管理もできないという情けなさ。これは僕の最大の弱点である、怠け癖と食い意地の汚さ、によるものだから、わかっていてもどうにもなりにくい、いやならないのだ。哲学だ、文学だ、大井川歩きだ、宗教だ、なんていったところで、その本体は、単なる食いしん坊のおじさん(おじいさん?)にすぎないとは。
それでも指定日は残酷にやってくるので、首を洗って検診を受けた。田舎の病院だから、対象者は少ないし、検査データもその場で公開してくれるし、内科医の説明もていねいといいところがある。軽はずみな僕は、こんなに丁寧な説明を今まで受けたことがないので感動しましたと(これは本心だが)医者におべっかをいってしまう。
と、ところが。判明した検査結果は意外にもそこまで悪いものではなかった。
総コレステロールは、わずかに基準値をこえたくらいだし、中性脂肪の超過も目に余るほどではなかった。今年初めに痛風らしき症状がでた尿酸値が一応基準値の範囲内だったのもうれしい。ここ数年低下していた左耳の聴力まで高音域を含めて基準内におさまっている。あまり関係ないが、視力も右1.2、左0.9とかなり好調だ。
なるほど、昨年からの往復の電車通勤はかなりの運動量だし、この夏からサボっているとはいえそれまで毎日昼休み散歩もしていた。最近、昼をサラダから弁当に切り替えたため体重は増加傾向だが、そこまで悪影響がでていないのかもしれない。
よおし。これなら、これをきっかけにダイエットに本腰をいれるぞ。
本当は、昨年はじめてマイナスの判定がでた心電図にさらに不審点が生じて、これは機械判定で再検査を言われると医師から伝えられたのだが、こういうのにはなぜか楽天的だ。最悪の場合には突然心停止するとかの症状の兆候にもなりうるサインらしいのだが、そのときはそのとき。