大井川通信

大井川あたりの事ども

『武蔵野風土記』 朝日新聞社編 1969

国立駅前ロータリーから南東方向に伸びる旭通の端に近いところにあるユマニテ書店で、とうとう目当ての本を見つけることができた。書名がわからずに探しあぐねていた本だ。実は相当前にこの書店で古びたこの本を見つけたことがあったのだが、おそらくその時の本がそのまま残っていたのだろう。カバーなどはぼろぼろだ。

朝日新聞三多摩版に1965年から百回にわたって連載された記事をまとめたものというから、新聞好きな父親が購入したのだろう。出版の経緯から、かなりの冊数が世に出回っていると思われる。父親が近所探訪のガイドブックとして利用した後おさがりで僕に回ってきたのだ。

見開き二ページが一項目で、写真と解説があるというのは記憶通り。国立周辺の事項が比較的多いのは、立川支局による記事のためか。なるほどこんな本だったよな、と手に取っていると、あまりになじみ過ぎてしまって新しく手に入れたという感動には薄い。それくらいだから手放してしまったのだろうと思う。

実は自分が高校生になってから手に入れてよく読みこんだ『歩く武蔵野』(新声社)もこの古書店に置いてあったのだが、あまりに汚れていて買う気は起きなかった。書名さえわかればあとでネットで探せばよいという気持ちもあった。

『武蔵野風土記』はネットで状態のいい本を見つけて、保存用はそちらにする。『歩く武蔵野』は出版数も少ないのか、ネットで見つけることはできなかった。とはいえ、これで僕の失われた子ども時代の本の収集はほぼ目的を達成したことになる。

 

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