大井川通信

大井川あたりの事ども

サークルあれこれ(その3 MMA的勉強会M)

MMAとは、mixed martial arts  の略称で「総合格闘技」のこと。打撃や投技、関節技など様々な技術を駆使して戦う格闘技で、名称も競技としての歴史も比較的新しい。日本では「異種格闘技」の方が耳になじみがあって、比喩としても通りやすいだろう。、この命名はほんの思いつきだ。

閑話休題。この総合格闘技的、あるいは異種格闘技的な勉強会は、もともと安部さんと始めた二人だけの会だ。共通のテーマや課題図書がある勉強会なら複数の人が参加できるが、様々なテーマについて即興で技を繰り出す勉強会は、腕に覚えのない参加者はおいていかれてしまう可能性がある。一対一ならば、相手の反応によって自由に攻め手を変えることができる。

安部さんは格闘技とは無縁の優男だが、美術、文学、映画、音楽、思想等全般についての愛好家だ。様々な人生経験を積み重ねてもいる。2006年の9月の最初の会は、「宗教」のテーマを扱い、「批評」「建築」「夢」と続いた。

時々中断をはさみながら、後期には映写技師の吉田さんも加わってもらい、三人の会となったが、日程等の調整が難しくなって57回で終了。あらたに吉田さんとの二人の会になってからはコロナ禍でも最小限の休みだけで月例開催を堅持して、今月で60回目となる。

安部さんの時は、僕がテーマを決めてレジュメを書き、それをもとに安部さんのフリートークを引き出すというやり方だったが、吉田さんとの会では、お互いが論じたいテーマとレジュメを持ち寄るという方法に落ち着いている。

吉田さんは、映画の専門家だが、漫画、アニメ、テレビ等のサブカルに強く、蔵書家、収集家でもある。独自の感性と思索力の持ち主で、いまだに予想外の引出を開けて驚かされることがある。同世代ということもあり、僕が面白いと思ったネタを遠慮なくぶつけられる相手だ。

相手にさえ恵まれれば、この形式の勉強会は内容、日時、場所も機動的に設定できて、なおかつ満足度も高い。仲の良い友人同士が、月に一度お茶会をして会話を楽しむのと同じように見えるかもしれないけれども。