大井川通信

大井川あたりの事ども

ジョウビタキがやってきた

玄関を出ると、隣家の屋根の上から、「ヒッ、ヒッ、ヒッ」という声が聞こえてくる。鳥の聞きなしは微妙なものが多いが、こればかりは、「ヒッ、ヒッ、ヒッ」としか聞き取れない。その合間に、カタカタカタと小刻みにモノをたたくような音も聞こえる。

ジョウビタキだ。テレビのアンテナにとまっている。夏の間の大陸暮らしから帰ってきて、さっそく縄張りを宣言しているのだ。あるいは日本が初めての今年生まれの若鳥かもしれない。

ジョウビタキは民家の近くの低いところにいる鳥で、人懐っこい。見慣れているから驚かないが、特にオスはオレンジの腹と黒い羽に白い紋が目立ち、キビタキ並みに美しい姿だ。地味な色のメスも、目がクリっとしてかわいい。

これから冬の間は、オスもメスも一羽づつが縄張りをもって離れて暮らすが、春になって渡りが近づくと、野原で何羽かのグループを見かけるようになり、もうそんな季節かと気づかされる。その時まで、今年も散歩の目を楽しませてくれるだろう。