大井川通信

大井川あたりの事ども

釣川浄土(絵本を届ける)

雨も降りかけているし、午後からで時間もないし、ということで多礼(タレ)まで歩くのははばかられた。しかし、自動車で乗りつけるのはポリシーに反する。やや迷って、自転車を走らせることにした。

先日、偶然道端で挨拶をして知り合ったキミコさんの家に、約束の絵本を届けるのが目的だ。キミコさんは、大井の力丸家から多礼にお嫁入している。力丸家の先祖祭(女祭り)にも、病弱だった母親の代理で娘時代に参加したことがあるそうだ。

力丸ムツコさんからの聞き取りをもとにした手作り絵本「大井始まった山伏」は、力丸家の先祖に関する絵本で、最後の場面では、力丸家の女祭りを取り上げている。このお祭りに実際に参加した人に、新しく出会えるとは思いもしなかった。

病床のムツコさんにこの絵本を届けた時、ぜひ分家の人たちにこの絵本を配ってくれと頼まれていた。キミコさんに渡すのは、この約束を果たすことにもなる。

絵本を渡して、だいたいのストーリーを説明する。キミコさんは昔の話ができるのを喜んでくれた。今回は、ヒラトモ様に実際にお参りしたことも思い出してくれる。戦時中は婦人会で参拝していたというから、こちらもお母さんの代理だったのかもしれない。

僕が大井でよく挨拶するナガイさんが、昭和9年生まれの学校の同級生で、まだ小さいときに山形県から引っ越してきたのが印象に残っているそうだ。ずいぶん寒い所からやってきたものだと。小学校一年生くらいのナガイさんが、親に連れられて戦争中の大井村に越してきた様子が目に浮かぶ。人に歴史ありだと思う。

キミコさん宅を辞してから、多礼の里山に足を踏み入れ、小さな滝などを見て帰る。

 

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