大井川通信

大井川あたりの事ども

サークルあれこれ(その7 聞法道場)

地元の街で開かれている浄土真宗の門法道場と出会ったのも、今となってはとても貴重な偶然だったと思う。当時僕は、今村先生の導きで浄土真宗大谷派清沢満之を読むようになってはいたが、刊行されたばかりの全集を持て余しているところもあった。

それで、近所で真宗の有名教授の講演があるという新聞記事の情報欄を見て出てみようと思ったのだ。しかしその年は道に迷っていきつかずに断念。翌年の2010年9月30日に羽田先生の公開講座を聞いたのが初回となる。

この聞法道場自体は、福岡教育大学の科学の教授が一方で真宗の信仰者であって、私財を投じて開いたもので、教授の死後も血族や弟子たちによって運営されているものだ。戦後しばらくの間までは、伝統宗教の側にも、新宗教並みの熱量があった時期があったことが実感できる。羽田先生から、日本で一番聞法の姿勢のよい場所ではないかと評価されるくらい、真面目で熱心な勉強会だ。しかし、この熱量も次世代までは伝わらず、現在のメンバーは70代以上が中心となっている。

勉強会(聞法)のスタイルは、講義者が経典の解釈を原典(経典)に基づいて詳細に解説するというアカデミックなものだ。講義の合間には少人数に分かれてのグループワーク(各班座談)のようなものがある。もっともこれは月例の会のやり方で、年に数回の公開講座は講義と質疑応答の組み合わせだ。

僕はこの公開講座の方に10回参加しているが、初めの頃は、月例会にも半年ほど続けて参加したことがある。この会のおかげで、仏教や真宗独特の用語法や思考方法についてある程度なじむことができただけでなく、伝統教団内部のすぐれた信仰者が何に直面しているかを受け取ることができた。羽田先生やコンウェル先生の公開講座は今年で終わってしまうようだが、自分を叱咤するためにも可能な限り参加を続けたい。