大井川通信

大井川あたりの事ども

こんな夢を見た(暴走ワンボックス+解説編)

実家には、隣の家のブロック塀との間に、すき間のような湿っぽい空間がある。本当は幅50センチメートルくらいしかないはずのそのスペースに、突然、大型のワンボックスカーが入り込んで来たのだ。

無理に通り抜けようとするが、途中であきらめたのか、その場で方向転換する。隣家のブロック塀と実家の壁にガリガリと傷をつけてしまい、実家の隣にある空き地へ引き返していく。空き地は住宅街の道に接していて、囲いとかないから、道と間違えて入ってきたようだ。僕はあわてて、車を追いかけた。

外見から工事関係の車とわかったし、車体にも傷がついているだろう。この近辺の工事現場にくるつもりが、ナビの誤った指示で、他人の地所に入ってきたのだろうと、とっさに推理する。

実家の前の道を探すが、工事現場も工事車両もない。一本先の大通りまで行って見回すが、やはりそれらしき車はない。わき道なども探し回ると、個人宅の駐車場にワンボックスを見つけるが、一回り小さな家庭用だし、庭にいる夫婦も隠し事をしているそぶりはない。

仕方なく実家に戻ると、隣家のブロック塀は二カ所ほど深くえぐられている。しかし、はぎとられた部分の奥には、なぜか新しいブロックが見えている。なんで二重構造になっているのだろうか。僕には不思議だった。

 

【解説】

夢の舞台:実家を離れて過ごした期間の方が長くなっても、夢の舞台は執拗に故郷の家の周辺だ。生まれ落ちた土地で、ぐるぐる歩き回りながら出会った町並みや風景が、やはり僕には世界の原型なのだろう。

夢の時間:睡眠中の妄想は、とりとめなく展開していく。起き抜けに手近ないくつかのエピソードをつかみ取ってきて、目覚めた後の自分が無理やり一つのストーリーとして解釈したのが夢というものだろう。だからたいてい断絶や飛躍やそれに伴う矛盾を持っているが、今回の夢は珍しく一つの独立したエピソードだ。

歪んだ出来事:夢はたいてい、ふだん考えたこともないような、ありえない、突飛な出来事で幕を開ける。有無を言わせない設定がある。

奇妙なイメージ:夢の終盤では、ふだん想像したことのないような、癖のある奇妙なイメージが登場する。あるいは、ふだん経験したことのような、独特の体感(たとえば、空中をくるしげに飛ぶような)が登場する。