大井川通信

大井川あたりの事ども

窮屈な靴をはきなさい

英語の名言集から。

失恋を乗り越えるための方法として、窮屈な靴を履くことがアドバイスされる。靴が気になって外の事が全部忘れられるから、というのがその理由。

この名言は、初めて聞いた。しかし、一歩一歩が痛くてたまらないほどきつい靴なら、そういうこともあるかもしれない。

実は数日前に歩いていて、右ひざに違和感があった。そこは大事には至らなかったのだが、次に右のおしりの奥の筋肉が痛くなって、次には右足、右肩の筋肉に痛みが広がった。横になっても、むず痒いような痛みがおしりと足にあって、寝つかれない。

こういう時はファミレスに勉強しに行っても、集中して読んだり考えたりすることができない。自分なりに大切に思ったり、楽しみにしていたりすることも、ちょっとした体調の不調やまして痛みの継続によって、吹き飛んでしまう。

これから迎える人生の晩年の病気や老化を考えると、それへの事前の対策も多くは実際には役立たないだろうと思うと憂鬱にもなる。

恋愛も文学も思想も仕事も、人間社会でどれほど重要で価値あるものとされていようとも、やはり生き物としての人間の個体にとっては、しょせん「幻想」であり、二次的なものに過ぎないということなのだろう。

目前の事象に喜怒哀楽の感情を持ち、苦しみや痛みの感覚に耐えることが、生命あるものの基本的な務めなのだと、覚悟を決めるしかないのだ。我が家の猫たちのように。