大井川通信

大井川あたりの事ども

キビタキとの再会

新しい職場の窓には、予想以上にたくさんの鳥が訪れる。コゲラヤマガラメジロから、いちどきに歓迎を受けたことは前に書いた。

いつも草むらでごそごそしているのは、シロハラだ。その近くで、草の実をついばんでいる小鳥だいるので、よく見たら、アオジだった。

ホオジロの仲間で、スズメより少し大柄だ。背中はスズメのように茶色の模様だが、首から上は灰色の頭巾をかぶったようで、目元が黒い。胸から腹は黄色っぽく、縦に短く黒い縞が入っている。

本格的に鳥を見だしたのは、そんな以前ではないから、いろいろな種類の鳥に初めて出会ったときの記憶は鮮明に残っている。しかし、アオジには、初対面の思い出がない。ホオジロに似た少しあいまいな外見だから、何度か見かけたあとで見分けがつくようになったのかもしれない。

低い塀に、いろどりのキレイな小鳥がいたが、すぐに飛び立ってしまった。とっさにジョウビタキと判断したが、違和感が残る。まぶたの裏の残像を確認すると、黒い翼に鮮やかなオレンジ色のコントラストだ。ジョウビタキなら、もっとくすんだだいだい色だろう。

少しおくれて、キビタキの名前が浮かんだ。4月の終わりだから、夏鳥キビタキが帰ってくる時期だ。例年は、林間でのたどたどしい笛の鳴き声で彼らの訪れに気づくが、なかなか姿を見ることはない。

人間の社会はコロナ禍で騒々しいが、鳥たちの営みの確かさには元気づけられる。