大井川通信

大井川あたりの事ども

台風がこわい

台風11号に続いて、台風14号がやってきた。こんどは、史上最強規模の勢力で上陸して、僕の住む地域をほぼ直撃する可能性が高いという。否が応でも緊張感がたかまる。

前回の台風の備えがそのままになっているところもあり、ゴミ箱などの家の周辺のモノを固定し、雨戸を締切り、出窓のサッシはビニールテープで補強して、襲来に備えた。

しかし、いつからこんなに台風が怖くなったのだろう。ふと考えるとそれも不思議な気がする。東京の実家でも、台風で何か被害があったという記憶はない。今の家に越して25年経つが、モノ一つ壊れたこともない。

ただ、今から20年以上前(1990年代後半?)に大きな台風が二つ続けてきた記憶がある。その一つでは、たくさんの家の屋根が飛ばされて、JRの車窓からブルーシートで覆われた家が目立っていたのを記憶している。それ以後、そんな景色は見たことがないから、すさまじい勢力の台風だったのだろう。

その時の詳細な記憶はないが、その台風の恐怖が僕の身体にしみこんでしまったような気がする。それ以後、もしあんな台風が来たら、と思い返すのが常になった。「あんな台風」の具体的な記憶は徐々に失われても、恐怖の気持ちだけは身体深く残り続けているのかもしれない。

それに僕は、強迫神経症めいた突発的な不安の気持ちにとらわれることがあって、今回そのターゲットは玄関前のケヤキだった。以前から、カマキリ虫らしき食害が目立っていたが、この夏には特に被害が進んで、大きな枝が枯れ始めたのだ。この冬には枝を切るつもりなのだが、台風で倒木して、家の周囲に迷惑を欠けるのではないかというのが僕の心配だった。

実際に台風では、ケヤキがまるでひ弱な草木みたいに前後左右に揺さぶられている。倒れないだろうか。

幸い、今回の「至上最強」の台風は、近づくにつれて拍子抜けするほどだった。中心部が通過する数時間は、風がそよりともしなくなり、犬を散歩させる人もいたくらい。わずかだが台風の進路の左側に位置していたことも関係したかもしれない。経験上、進路の左右で被害が大きく違うような気がするのだ。