例年より開花がはやく、サクラが盛りを迎えようとしている。満開のサクラは淡く上品で、毒々しさはないけれども、やはり異様な生命力を感じる。先人がいろいろな想像力をかきたてられてきたのも無理はない。
職場近くの民家の庭では、早いうちから梅の花がきれいだった。紅梅も白梅もともに美しい。「こっちは樹齢50年で、奥にある木は150年になります」とその家の奥さんが教えてくれた。今では地味でごつごつした幹と枝だけになって後景に退いている。
梅のあと目立ったのは、数こそ少ないがモクレンの木だ。モクレンは白く大きな花弁を全身に身にまとってよく目立つ。実家近くの住宅街にもあって、家族の会話にも出てきたのか、僕にもなじみのある木だ。そのモクレンも散りかけている。
散歩の途中で、庭先のユキヤナギの小さく密集した花の鮮やかな白さが目を打つ。ユキヤナギは確か実家の庭にもあったはずだ。
そうして桜よりもやはやく周囲を彩ったのが菜の花だ。河川敷や田畑はもちろん、街中でもあちこちで見かける。今年は菜の花の黄色がとくに目立つように感じられる。こちらは全盛期のまま、春の花の王者である桜の登場を迎えるのだ。