近ごろ、ようやく低山登山の面白みを知った。雑草が茂ると山に入りづらくなる。暖かくなるとマムシとかも出てきそうだ。今のうちに登ろうと思うのだが、週末の度にいやがらせのように雨が降る。気ばかりあせるが、こればかりはしょうがない。
マイルールでは登山と言えども、自宅から歩いて往復しなければならない。体力的にも時間的にも、直線距離で3キロくらいまでの場所が限度になる。これでも高低差のある土地を10キロ以上歩くことになるのだ。
今の家からは、この直線3キロ圏内に、標高250メートルくらいの山がいくつか並んでいる。このくらいの高さがあると、地図にも記されるような名前がついている。100メートルクラスの里山はいくつもあるが、たいていは無名の山だ。
昨年末に対馬見山に登ったときに、その隣の水落山へ登るルートを確認することができた。ネット情報では、対馬見山ほど急な坂ではないらしい。ようやく雨のあがった休日に勇んで用山から山に入る。
山道で珍しく人に会ったので声をかけると、先方も驚いている。間伐の作業をするという二人組だった。30代くらいの若い人だが、森林組合の依頼で、それぞれ飯塚と行橋というずいぶん遠方から来ているという。やはり人材不足なのだろう。この辺の山は、とても管理が行き届いているとはいえないが、まったく手を入れていないわけではないのを知って、ちょっと安心した。
斜面に根を下ろしている樹々に感謝しながら、幹に手をかけて慎重に登っていく。わずかに眺望が開けるところもあって、対馬見山が間近く見える。峰にたどり着くと、あとは歩きやすい。水落山は遠目にはなだらかな山だが、峰の両側は急傾斜の深い谷で、水落山の名前の由来がわかった気がした。この辺りの最高峰の念願の山頂にたどり着く。
そのあといろいろ山中で迷いながら、間伐作業のチェーンソーの音を聞きながら、山道を戻った。