サロズさんは、ネパールのヌワコットの出身。あとから調べると、ヌワコット郡は2015年の地震で被害を受けた土地らしい。サロズさんの実家はどうだったのだろうか。ネットの記事で見ると、首都カトマンズからランタン国立公園に向かう途中にあり、何時間もバスに揺られないといけない場所にようだ。
兄弟が二人で、姉は結婚してカトマンズで生活。お兄さんはイスラエルに移住して結婚生活を送っている。サロズさん自身、日本語学校入学のために来日してから、大学を卒業するまでネパールに帰国する予定はないという。おそらく経済的な事情が大きいのだろう。こうした国境を超えたノマド的な家族のあり様を聞くと、ドメスティックな定住者である僕は、頭がクラクラしてしまう。
日本語学校は北海道だったという。恵庭市にいたそうだが、ネットで見ると日本語学校もあるし「インネパ」のカレー店も多いようだから、ネパール人コミュニティがあるのかもしれない。恵庭では豆腐屋さんのバイトもしていたらしい。ちなみにネパール語でも豆腐は「トフ」だ。北海道で良い先生に出会ったのが、今のサロズさんの日本語力を培ったという。
福岡の大学に入学するために、今春来福。福岡には、従兄夫婦が働いて住んでいるし、同郷の友人もいるそうだ。こちらに来てからは、従兄の家で食事をごちそうになることも多いという。10月は、ネパール最大のお祭りダサイン祭りがあるが、これは多人数が集まって祝うのではなく、日本のお正月のように家族(親族)単位で行うのだそうだ。だから、サロズさんも従兄の家で祝うという。
大学は経営学を専攻。留学生の比率が多いと問題視されることのある大学だが、サロズさんの向学心と経済的負担に見合う成果が出ることを願う。どのような環境であれ、トップクラスの結果を出せば評価されるだろう。少しでもそのお手伝いができるといいと思う。
別れ際、サイフに張られたネパール人の彼女の写真を少し照れながら見せてくれた。福岡の近隣に住んでいるというが、いつ知り合ったのだろうか。こんど聞いてみよう。